とんど祭り

  • 2020.01.13 Monday
  • 18:59

 

 

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今日は錦帯橋の河原で《とんど祭り》があった。

少し早めに着いたので車の中で大相撲をみていたら、結びの一番で遠藤が白鵬に勝って大騒ぎになった。先場所の取組みでは白鵬のエルボーで問題となったが「反則ではない」と開き直る横綱にエルボーをかましてほしいと思っていたら遠藤は正当な技ありで勝った。

痛快な気分で車から降りて近づいて行くといきなり花火があがった。どうやら火入れの合図らしかった。

例年どおり、神事や市長らの挨拶があって7時頃火入れとなり一気に炎が燃え上がった。

ぼくたちは持って行ったお飾りやお札を火中に放りこんでからしばらくして《ぜんざい》をいただくことになった。むかしはお神酒も一緒にふるまわれたものだったが最近ではそうもいかなくなったようだ。

 

ぼくが育った山代の地域では《とんど》の準備は子どもたちがすることになっていた。川原に芯棒となる5メートルくらいの柱を立てて焚きつけにちょうど良い和紙の原料となる楮やミツマタの皮をとったキガラを持ち寄り、流木やみんなで山から拾い集めた小枝や竹を切り出したものを組んで完成させた。

それから、「火入れ》は7時と決め込んで夕飯までの時間を石組みなどして自分たちの場所(陣地)をつくるのも楽しみの一つだった。 

日が暮れて鏡開きした餅やコオリ餅アンコ餅などをもち寄り《とんど》の火で出来たオキをとってそれを焼いて食べた。アワ餅やヨモギ餅もあったような気もするが神事のことはあまり知らなかった。  

ただ、非日常の祭り事をおもしろがっていたのかも知れない。ぼくにとって《とんど》の原体験はそのようなものだった気がする。  


 

 

100分deナショナリズム

  • 2020.01.07 Tuesday
  • 17:23

 

NHKはEテレの番組「100分de名著」の正月特番「100分deナショナリズム」はたいへん意義深い番組(1日放送5日再放送)だった。

通常はゲストの紹介する名著を中心にして司会の伊集院光らが読み解きながらディスカッションする番組だが、特番は社会学者の大澤真幸、作家の島田雅彦、政治学者の中島岳志、漫画家のヤマザキマリの4人をゲストにむかえ、元SMAPの稲垣吾郎が安部みちこアナウンサーとともに司会を担当。

特番では「ナショナリズム」をテーマにゲスト4氏が紹介する名著を解説し、ディスカッションする構成だったがトークも嚙み合っていてたいへん興味深い内容となった。紹介された名著は安倍公房の「方舟さくら丸」、橋川文三の「昭和維新試論」、マキャベリの「君主論」、ベネディクト・アンダーソンの「想像の共同体」の4冊。

 

朝日新聞の正月特番でも現代社会が直面する大きな課題として「多様性」というキーワードが大きく取り上げられていたように思うのだが、英国のEU離脱、排外的な米国第一主義にみられる資本主義の壁とも限界ともいえそうな兆候とあわせて「多様性」と「寛容」を失った社会のあり方がこの番組で問われたナショナリズムと連動しているようにも感じられた。つまり、国内的にみても二極化がすすみヘイトや分断による格差や差別がますます増幅しているとみられることがナショナリズムとどのような関係にあるかという問題にもなってくるということか。

とりわけ、橋川文三の「昭和維新試論」を紹介した中島岳志は保守という視点で大東亜戦争や昭和維新をとらえ明解な分析を企てる。橋川の試論にとって朝日平吾や渥美勝とはいったい何だったのかと。

ヤマザキマリの紹介する安倍公房「方舟さくら丸」の集団と個の心理的メカニズム(選民と棄民)から展開された論議もいろいろなことを考えさせられるようでもありおもしろかった。

個人的にも安倍公房を読みあさっていたことがあり「方舟・・」は買ってはいるが実はまだ読んでいなかったのでこれを機にという気になった。ユープケッチャの構想はその当時から安倍氏本人が云っていたし知ってはいたのだが、、、ということ。

 

明けましておめでとう

  • 2020.01.01 Wednesday
  • 02:32

 

 

 

🌅明けましておめでとうございます。本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。

㊗穏やかな元旦を迎えて今年が災害のない実り豊かなすばらしい年となるよう祈念します。

 

年の瀬

  • 2019.12.28 Saturday
  • 20:10

年の瀬もいよいよ今日が仕事納め。わが教室も今年は子どものクラスが最後となった。

午前中は庭掃除やぼくのノルマとされていた網戸と台所の窓ガラスの掃除。

明日の天気がくずれるとあって今日は外回りに徹したが、まだ半分障子の張り替えが残っている。

 

車と教室と土生のアトリエの掃除もあるというのに大みそかは寒くなるらしい。

腰の痛みと肩こりはすでにマックス。

さすがに歳を年の瀬であーる。

圧縮

  • 2019.12.24 Tuesday
  • 12:26

 

なーんにもセザール❗

岸田劉生展

  • 2019.12.23 Monday
  • 17:40

 

 

昨日は徳山、山口方面へ年末の墓参りに行った。天気はいまひとつ良くなかったけれど予定通り三か所をすませ、湯田に住む老姉妹の知人宅に立ち寄って楽しいお茶をごちそうに。

その後、ちょうどその日が最終日となっていた山口県立美術館で開催中の『岸田劉生展』を観覧することになった。

実はNHKのテレビ番組日曜日美術館でもみていたし楽しみにしていたのだった。

 

この度の展覧会は岸田劉生の没後90周年となるもので《山口県立美術館の開館40周年》と《TYSテレビ山口開局50周年》記念ともなっていてかなり充実した内容のものだった。重要文化財の『麗子微笑』は残念ながら11月2日から12月8日までの展示ということでこの日は拝見できなかったけれど、最終日とあって多くの観覧者がいたようにおもう。

劉生は明治から大正にかけて活躍した孤高の画家とされる人で独特の画風で人気も高い。岩国ではちょうど河上左京さんらとほぼ同時期の画家で左京さんの『楠の風景』や『静物画』など共通した点も多くみられるようにおもう。

岸田劉生といえば娘を描いた『麗子像』のほかにも多くの肖像画や精神性を感じさせるストイックな静物画を知る人は多い。

だが、今回は生まれ育った東京銀座から移り住んだ代々木界隈の(赤土の風景や切通しの道や壁)を描いた風景画におどろいた。これは岸田劉生の画業の中でもきわめて重要なもののようにおもえた。

 

大正ロマンの最盛期とはいえ関東大震災や満州生活を経験し生活の基盤をかえながらも最後は徳山の知人を訪ね客死することに。

劉生は雑誌《白樺》に紹介されたゴッホやゴーギャン、セザンヌら後期印象派の作品に衝撃をうけ、さらにフランス近代美術のあとを追うように内面性の表現を希求するようになる。

そして、16世紀の北方ルネサンスの画家デューラーなどに接近し徹底した細密描写による独特の画風を確立する。麗子像はそのころのものといえるが、劉生は麗子像を介してデューラーをはなれ東洋的な独自をスタイルを模索する。

没後90年ということもあって各地で展覧会がおこなわれているようで、ひろしま美術館でも岸田劉生展が開催されている(1月13日まで)。

 

 

 

山綱そば

  • 2019.12.20 Friday
  • 16:10

 

久しぶりに山綱そばを食べに行く。

最近ではこういう個人商店がなくなった。岩国の駅前や中通りを歩いてみても昔あった店が消えてしまった。

ありきたりの居酒屋やチェーン店とコンビニしかなくなってしまった気がする。

人もいなくなったが、本屋も喫茶店もレコード店、映画館もなにもかもがこの街から消えていった。

このままで本当にいいのかと思ってしまうのはオレだけか?

今日は旭町のむらつか商店で野菜を買って帰りにここへ立ち寄ったのだが温かみがあってなかなかいい。

どこか殺伐としていてさびしい感じがするのだが、むらつかと山綱は頑張ってもらいたい。

芸術の有用性

  • 2019.12.18 Wednesday
  • 10:27

 

今年は《表現の不自由展》の是非が問われ「あいちトリエンナーレ」への文化庁の補助金不交付をめぐる話題が沸騰し、みんなの公金で芸術活動を支えることの意義が大きな問題となった。

 

12月15日付け朝日新聞朝刊に悩ましくも興味深い記事があった。ここでは新潟市の舞踊団NOISM(ノイズム)など地方で活動する劇団や舞踊団の実情が報告されている。首長が変わるたびに市民にとって活動の必要性が問われるという。

ノイムズは振付家で舞踊家の金森穣さんが、04年に新潟市民芸術文化会館の舞踊部門芸術監督への就任とともに設立された。市に「日本でも地域で人材を育て、独自の芸術文化をつくりましょう」と提案し日本初の公立劇場専属舞踊団という実験が始まったという。これまで取り組んできた活動は金森さんが芸術選奨文部科学大臣賞を受賞するなど国内外で評価されている。だが、市内公演の観客数は近年横ばいで市長の交代でを機に、公金に値する活動かが疑問視されてきた。

 

金森さんは「この文化政策が市長が代るからといって揺らぐようではいけない。スタッフに限りがある中で、市民に向けたエネルギーの割合が低かったのも事実です。」としている。なんとか市民向けのスクールの定期開催や小中学校の授業など、地域とのかかわりを深める改善策を講じて市民有志とともに理解を求め活動の2年延長が決まったという。

だが、先行きは不透明でさまざまな問題がある。ノイムズの事業費(18年度約1億2千万円)を入場料や国の補助金で賄うのは難しく、市の補助金は不可欠。大半を人件費に充てており、減額されれば現在13人いるダンサーとに契約に影響が出る。

文化による地域づくりとはいえ、欧州とちがって日本ではこのような活動が「市民の財産」になるという意識が薄い。90年代、自主事業に積極的な公立劇場が現れ、創造集団も出てきたが「有用性」の証明に苦心し継続が難しかった。

 

兵庫県立尼崎青少年創造劇場を拠点とする県立ピッコロ劇団も似たような問題を抱えていて18年度事業費約2億6千万円のうち、約1億9千万円が県の補助。劇団の部長は「県のお金が入っている以上成果の《見える化》が求められる」という。

また、静岡の静岡県舞台芸術センター(SPAC)は専用劇場の管理委託料を含め、18年度事業費は6億1千万円(県支出約3億円)に上る。その後の知事の交代や厳しい財政事情を乗り越え、活動や規模を維持してきた。

芸術総監督の宮城さんは「東京を介さず、世界と直接つながる実例を観ることは若者の励みとなり、人材流出を防ぐことにつながるはず」「彼らに子どもが生まれ引き継がれ『SPAC、あったほうが良いよね』という土壌が生まれるのではないかと思うんです」という。

 

 

防府天満宮

  • 2019.12.16 Monday
  • 18:20

 

参道

 

 

防府天満宮

 

久しぶりに防府天満宮に立ち寄った。

ここは息子が受験のとき以来だったがさすがにこの時期多くの人がお参りしていた。

 

 

企画展「山頭火の書」

 

 

山頭火のふるさと館は知らなかったのだが新しく出来たのだろうか、はじめて入館することになった。ゆっくり観てまわっている内に時間が押してきて、自筆の書の企画だったのに最後の部屋にあったため大急ぎで観ることになった。

それでもこの界隈の通りや防府の街づくりの取り組みに大いに感心させられた。何もなくなったわが岩国を嘆きたくはないがどうしても街づくりの本気度に落差を感じてしまうところがある。

芸術都市宣言して地域づくりのVISIONを示すことは重要かも知れないが基地や錦帯橋におんぶにだっこでは到底地域づくりは見込めるはずもない。デフ・パペットシアター・ひとみ『河の童』防府公演を実現させた関係者にあらためて敬意を表し次回公演へと継続してほしいものだ。

 

毛利博物館と毛利邸庭園

  • 2019.12.16 Monday
  • 11:07

 

ろう者と聴者が共につくる人形劇団 デフ・パペットシアター・ひとみの防府公演『河の童』を観るために山陽高速で一路防府へ。

その前に念願の毛利博物館と庭園に立ち寄った。

明治天皇の許可をうけ再建となった毛利氏の本邸だが今は博物館として保存され、毛利家ゆかりの品々や資料が展示されている。この度は谷文晁の六曲ニ双屏風図や茶道具、かるたなど興味深いものが多数拝見できてよかった。

 

 

 

 

広大な庭園は手入れが行き届いていて気持ちのいい天気の中ゆっくりと散策して楽しんだ。もみじの紅葉はすでに終わり散ってはいたがそのころは多くの観光客で賑わっただろうと想像できる素晴らしい庭園だった。

 

 

 

 

これだけの施設を維持管理することは容易ではないが、むしろ毛利邸の壁などに修復の必要な個所がいくつかあった。それでも限られた資金の中で計画的に取り組んでいることがよく分かるし頑張っているなぁと感心させられた。

 

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原田美術教室の活動


♛ グループ小品展2020
2020年10月21日(水)〜10月25日(日)10:00−18:00
シンフォニア岩国企画展示ホール

この展覧会グループ小品展は、絵を描きはじめて間もない初心者から山口県美展・岩国市美展など他の美術コンクールや個展などで活躍している経験者までを含む原田美術教室の研究生で構成され、絵画のいろは展とともに隔年で開催するものです。 今回のグループ小品展では、日ごろの研究成果を発表すると同時に、人と人、表現と表現のふれあうなかで単に技術の習得のみならず、絵を描くことで何を考え、何を発見することができるかということ。そして、「文化的な営みと豊かさ」あるいは「活力と潤いのある生活」とは何か、という問いについて考えることを目的としています。 また、グループ研究生として互いの親睦を兼ねたコミュニケーションを大切にし、互いの作品を認める楽しさを発見すると同時に表現の多様性について考え、アートの楽しさを伝えることで地域の芸術文化活動の普及と発展に寄与し貢献したいと願うものです。









  
♛ 絵画のいろは展2019
2019年11月27日wed〜12月1日sun10:00〜18:00
シンフォニア岩国企画展示ホール






この展覧会は、絵を描きはじめて間もない人から山口県美展・岩国市美展など他の美術コンクールや個展などで活躍している大人に加えて、これまでTRY展として活動してきた子どもたちを含む初心者から経験者までの作品を一堂に展示する原田美術教室の研究生およそ30人で構成するものです。
アトリエや教室での日ごろの研究成果を発表すると同時に、人と人、表現と表現のふれあうなかで単に技術の習得のみならず、絵を描くことで何を考え、何を発見することができるかということ。また、「文化的な営みと豊かさ」あるいは「活力と潤いのある生活」とは何か、という問いについて考える契機となることを願っています。「絵画のいろは」とはこのように制作上の技術の問題だけでなく、日常生活での活力や潤いのある生活のあり方を考える実践的問いかけに他ならないのです。
特に今回は子どもたちの作品を含めてそのことについて考える風通しのいい会場構成となっています。研究生として親睦を兼ねたコミュニケーションを大切にし、互いの作品を認める楽しさや表現の多様性について考え、アートのおもしろさを伝えることで地域の芸術文化活動のささやかな普及と発展に寄与したいと願うものです。


子どもの作品が大人気







山口県美術展覧会2019

2019年2月14日(木)−3月3日(日)9:00−17:00(入館は16:30まで) 
休館日:2月18日(月)、25日(月)
観覧料/一般:500(400)円 学生:400(300)円( )内は20人以上の団体料金
*18歳以下は無料 *70才以上の方、中東教育学校、高等学校、特別支援学校に在学する方等は無料 *障碍者手帳等をご持参の方とその介護の方1名は無料
山口県立美術館

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優秀賞 藤本スミ

入選 玉井康子

入選 中村みどり



佳作賞 浜桐陽子

原田文明展 ドローイングインスタレーション2018


2018年11月21日wed−25日sun 10:00−18:00
シンフォニア岩国企画展示ホール











ドローイングインスタレーションは、ここ十数年にわたって絵画表現の可能性について考えてきた一連の営為の中で、偶然とも必然ともいえる結果として発見されたものです。
私はこれまで「具体絵画」と称して、物質(素材)が表現目的の手段として扱われるのではなく、物質のあり方それ自体を色彩やフォルムと等しく絵画の重要な構成要素とする一連の作品を制作してきました。
ここでは行為と物質がもたらす一回性の出来事さえも絵画を成立させる重要な要素として捉え、作為的な感性によって空間へと展開されています。いうまでもなく、そのことによって生成される新しい意味と存在の可能性をリアルな知覚的世界として位置づけ、形而上学的な意味を問いかける主知的な営為と考えてきたのです。
さらに、その表現形式のあり方は平面的な二次元の世界から室内空間(場所)を構成する三次元的な世界へとその機能性を拡張し、ドローイングインスタレーションともいうべき様式へと変容させ意識化されてきたとも云えます。
私にとってもはや絵画は多元的な空間へと自在に移ろうイリュージョンの世界へと変容してきたと云うべきかもしれません。それは身体性を意識したメタフィジカルな実践として存在論的に見えかくれする場面への接近であり、換言すれば世界を包み込む現存(リアルな世界)への希求の現われというべきかも知れないのです。
本展はこれまでの多岐にわたる活動をふまえてたどりついた新作ドローイングインスタレーションの様式にさらに色彩的要素を取り入れることによって新境地への挑戦と可能性を探求する原田文明の現況とその一端を示すものです。

里の芸術一揆「里山 ART Project 吉賀」




本プロジェクトは隔年式のアートビエンナーレとして、将来の「地域」「文化」「くらし」を考える文化的なムーブメント(運動)をつくることを目的とするものです。また、地域の農耕文化や伝統に学び、芸術文化の振興発展と普及のみならず、「生活と芸術」「過去と現在」「人と地域」の交流を軸とする文化による地域づくりについて考えるものです。 このことは、吉賀町がこれまで取り組んできた自然との共存共生を願うエコビレッジ構想と合わせて、人間の営みとしての文化と里山の自然について考えることであり、里山に潜在する魅力とその可能性を再確認し文化意識の変革と活性化を推進するものです。 今回は、現代アートの最前線で活躍する8名のアーティストによる最新作を現地で制作し、地域住民とともにワークショップや生活文化など多方面での活発な交流が実現されるものと考えています。 2010年10月開催予定。

岩瀬成子話題の本棚



『もうひとつの曲り角』(岩瀬成子著 酒井駒子表紙絵 講談社)
野間児童文芸賞、小学館文学賞、産経児童出版文化賞大賞、IBBYオナーリスト賞など数々の賞を受賞する岩瀬成子氏の最新長編作品。

柵には半開きになった木の扉がついていて、その扉に「どうぞお入りください」と青色のマジックで書かれた板がぶらさがっていた。 「いやだ。あたしはそんなところへは、ぜったいに入らないから」ときこえた。 えっ。どきんとした。 庭木のむこうからだった。わたしにむかっていったんだろうか。 わたしは耳をすまして、木々にさえぎられて見えない庭のようすをうかがった。 しんとしていた。 だれがいるんだろう。 わたしはぶらさがっている板をもう一度見た。 それから足音を立てないようにして、そっと扉のあいだから庭に入っていった。しかられたら、すぐににげだすつもりだった。ちょっとだけ、のぞいてみたかった。──本文より。 小学五年のわたしと中一の兄は二ヶ月前、母の理想の新しい家、市の東側から西側へ引っ越してきた。この町で通い出した英会話スクールが休講だったので、わたしはふと通ったことのない道へ行ってみたくなる。道のずっと先には道路にまで木の枝が伸びている家があり、白い花がちらほらと咲いて・・・・。

日本絵本賞、講談社出版文化賞、ブラチスラバ世界絵本原画展金牌、オランダ銀の石筆賞など受賞の酒井駒子氏による美しい装画にも注目!

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『地図を広げて』(岩瀬成子著 理論社)
父親と2人暮らしの鈴のもとに、母親が倒れたという知らせがとどく。母はそのまま亡くなってしまい、母親のもとにいた弟の圭が、鈴たちといっしょに暮らすことになった。 たがいに離れていた時間のこと、それぞれがもつ母親との思い出。さまざまな思いをかかえて揺れ動く子どもたちの感情をこまやかにとらえ、たがいを思いやりながら、手探りでつくる新しい家族の日々をていねいに描いた感動作。


『ともだちのときちゃん』(岩瀬成子作 植田真絵 フレーベル館)
フレーベル館【おはなしのまどシリーズ】として出版された岩瀬成子の新刊『ともだちのときちゃん』は、イメージの広がりとこの年頃の子どもが経験する瑞々しい出会いにあふれています。(略)著者はそういう細部をみつめる子どもの感情をとてもよく描いていて、このお話しの最後のところでたくさんのコスモスの花にかこまれて青い空と雲をみつながら「ぜんぶ、ぜんぶ、きれいだねえ」とふたりの気持ちをつたえています。

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『ちょっとおんぶ』(岩瀬成子作 北見葉胡絵 講談社)
6才のこども特有のイノセントな感覚世界。この年ごろの人間だけが経験できる世界認識のあり方が本当にあるのかもしれない。あっていいとも思うし、ぼくはそれを信じていいようにも思います。名作「もりのなか」(マリー・ホール・エッツ)が普遍的に愛読されるのもこの点で納得できる気がするのです。
この本の帯にあるように、絵本を卒業する必要はないけれど絵本を卒業したお子さんのひとり読みや、読みきかせにぴったり!といえるかもしれません。どうぞ、手にとって読んでみてくださいね。

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『マルの背中』(岩瀬成子著 講談社)
父と弟の理央が暮らす家を出て母と二人で生活する亜澄は、駄菓子屋のおじさんから近所で評判の“幸運の猫”を預かることに。野間児童文芸賞、小学館文学賞、産経児童出版文化大賞受賞作家による感動作!

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『ぼくが弟にしたこと』(岩瀬成子著 長谷川修平絵 理論社)
成長の予兆を感じさせるように父と再会した麻里生には、次第に人混みにまぎれていく父の姿は特別な人には見えなかった。著者は帯にこう書き記している。どの家庭にも事情というものがあって、その中で子どもは生きるしかありません。それが辛くて誰にも言えない事だとしても、言葉にすることで、なんとかそれを超えるきっかけになるのでは、と思います。

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『きみは知らないほうがいい』(岩瀬成子著・長谷川集平絵、文研出版)
2015年度産経児童出版文化大賞受賞。
クニさんの失踪、クラスメートの関係性が微妙に変化するいくつかのエピソード、昼間くんの手紙、錯綜するその渦の中で二人の心の変化と移ろいを軸に物語は複雑な展開をみせる。
最終章、米利の手紙にはこう書いてある。それはぐるぐると自然に起きる渦巻のようなものだった。「いじめ」という言葉でいいあらわせない出来事があちこちで渦巻いている学校。
それでも明るい光に照らされている学校。そして苦い汁でぬるぬるとしている学校。学校よ、と思う。そんなに偉いのか。そんなに強いのか。そんなに正しいのか。わたしは手でポケットの上をぽんぽんとたたいた。

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『あたらしい子がきて』(岩瀬成子著、上路ナオ子絵、岩崎書店)
前作『なみだひっこんでろ』の続編のようでもあり、“みき”と“るい”姉妹のお話となっているけれど、ストーリーそのものはそれとはちがうまったく新しいものである。 ここでは、お母さんのお母さんとその姉、つまり“おばあちゃん”と“おおばあちゃん”という姉妹がいて、知的障害のある57歳の“よしえちゃん”とその弟の“あきちゃん”の姉弟が登場する。 このように“みき”と“るい”姉妹の周りにもそれぞれの兄弟が重層的に描かれている。
第52回野間児童文芸賞、JBBY賞、IBBYオナーリスト賞を受賞。

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『くもりときどき晴レル』(岩瀬成子著、理論社)
ひとを好きになるとどうして普通の気持ちじゃなくなるのだろう。誰でもこのような不思議な感情に戸惑いを感じることがある。恋愛感情とも云えないやりきれない気持ちの動きと戸惑いをともなう心理状態のことだ。 本著は、「アスパラ」「恋じゃなくても」「こんちゃん」「マスキングテープ」「背中」「梅の道」という6つの物語で構成された短編集であるけれど、思春期を向かえる少し前になるそれぞれの子どもの現在としてそのやわらかい気持ちの揺れを瑞々しいタッチで描いたもの。

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『なみだひっこんでろ』(岩瀬成子著、上路ナオ子絵、岩崎書店)
今年度第59回課題図書に決定!

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『ピース・ヴィレッジ』(岩瀬成子著、偕成社)


大人になっていく少女たちをみずみずしく描く
「最後の場面のあまりのうつくしさに言葉をうしなった。私たちは覚えている、子どもからゆっくりと大人になっていく、あのちっともうつくしくない、でも忘れがたい、金色の時間のことを。」 角田光代
基地の町にすむ小学6年生の楓と中学1年生の紀理。自分をとりまく世界に一歩ずつふみだしていく少女たちをみずみずしく描いた児童文学。
偕成社から好評新刊発売中!

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 『だれにもいえない』(岩瀬成子著・網中いづる画、毎日新聞社)

小さな女の子のラヴストーリー。
点くんをきらいになれたらな、と急に思った。 きらいになったら、わたしは元どおりのわたしにもどれる気がする。 だれにも隠しごとをしなくてもすむし、 びくびくしたり、どきどきしたりしなくてもすむ。(本文より)
4年生の女の子はデリケートだ。 せつなくて、あったかい、岩瀬成子の世界。 おとなも、子どもたちにもおすすめの一冊。

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『まつりちゃん』(岩瀬成子著、理論社)
この作品は連作短編集という形式で構成され、抑制の効いた淡々とした表現で描かれているところが新鮮である。各篇ごとにちがった状況が設定され登場人物(老人から子ども)たちはそれぞれ不安、孤独、ストレスといった現代的な悩みを抱えている。その中で全篇を通して登場する“まつりちゃん”という小さな女の子は、天使のように無垢なる存在として現れる。その女の子と関わることによって物語は不思議なこと癒しの地平へと開示され、文学的世界が立ち上がるかのようだ。 岩瀬成子の新しい文学的境地を感じさせる魅力的な一冊ともいえる。

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『オール・マイ・ラヴィング』(岩瀬成子著、集英社)
■ 1966年、ビートルズが日本にやって来た!14歳の少女が住む町にビートルズファンは一人だけだった。 ■ 「オール マイ ラヴィング」とビートルズは歌う。聴いていると、だんだんわたしは内側からわたしではなくなっていく。外側にくっついているいろいろなものを振り落として、わたしは半分わたしではなくなる。ビートルズに染まったわたしとなる。 ■ 岩瀬成子の新刊、1月31日集英社から好評発売中。“あの時代”を等身大の少女の目でみつめた感動の書き下ろし長編小説 『オール・マイ・ラヴィング』 ■ ビートルズ ファン必見の文学はこれだ!

51dCgDlcLQL._SS500_.jpg『そのぬくもりはきえない』(岩瀬成子著、偕成社)
■ 日本児童文学者協会賞受賞


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『朝はだんだん見えてくる』(岩瀬成子著、理論社) ■ 1977年、岩瀬成子のデビュー作。本書はそのリニューアル版で理論社の『名作の森』シリーズとして再発行されたもの。

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