二ヶ月がかりの鉛筆画

  • 2019.01.30 Wednesday
  • 21:22

 

安奈さんの二ヶ月がかりの鉛筆画、今日完成しました。なかなかのものですな。次回からはいよいよ彩色ドローイングの作品にとりかかります。

 

 

むむむむーっ、これはかなり気合いが入っていますな。星3つです。

ひまつぶし鉛筆画

  • 2019.01.26 Saturday
  • 20:34

 

 

先週の凧上げ日和とうって変わって今週は雪の降る寒さ、今日の児童クラスではあえて色彩のないモノクロームのひまつぶし鉛筆画に挑戦。

 

 

 

 

これらはまだ完成途上の作品ですがあえて鉛筆によるモノクロームの課題に取り組んだのは、それなりの気になるわけがあった。

これまで子どもたちと関わってきて線描の強弱とか調子、微妙な手加減といえばいいのか、その変化だけで成り立つ絵画表現があることを知ってほしかったし経験して欲しかったからである。

このことはまさしく表現における大切な要素の一つでありながらも、現状ではやや見逃されているようにも思うからだ。

加減による調子の変化を考えることは絵を描くことだけでなく、友だちとの関係のあり方についても大切なまなざしのようにも思われる。絵を通じてこのことを考えてみたいと思ったのだ。

 

無心で描く塗り絵のようなものだからあとは根気だけの問題となるのだが、勉強の合間の気分転換とかひまつぶしのつもりで少しづつ完成させていただきたいです。だから、勉強しないとなかなか完成しないかも、、、、、

さてさて今から仕上がりが楽しみなのであ〜る。

 

メジちゃんが来ている

  • 2019.01.26 Saturday
  • 11:53

 

 

 

寒そうにしているメジロ。今日は雪が降っているくらいだからなぁ、、、。

「あまり大きくなっていないじゃないか」しっかり食べてちょうだいよ。

 

ジョウビタキも来ているようだがルリはまだ見かけないなぁ。エナガ、ホウジロもやってくるはずなのだが。

 

ヒヨやスズメは必ずいる。

保育園の子どもたち

  • 2019.01.25 Friday
  • 19:21

 

昨日は永い間、美術保育でかかわってきた保育園を終了することになった。

この春、小学生になる年長の子どもたちや彼らが入学する小学校の校長や教頭先生の方々とともに会食した後、最後になった美術保育ということで「ゴム動力でうごく作品」をつくってあそんだ。

紙コップ、輪ゴム、ねんどでつくる簡単な工作だ。

 

 

まず、輪ゴムのはなしをする。引きのばされたゴムやねじられたゴムはもとのかたちにも戻りたい特徴がある。その戻りたい力をいかした作品であることをはなす。板にとりつけたスクリューをゴムで動かせば舟になるし、プロペラを動かせば飛行機になってゴム動力でうごく作品ができる。今日はゴムにとりつけたねんどの塊をうごかしてコップがうごく作品のカラクリを説明する。

そして、コップがうごくだけじゃおもしろくないので最初にコップをなにかに変身させることにする。

コップに絵を描くんじゃなくてコップを何かに変身させるんだぞ。たとえば、羽やツノ、手やシッポ、口ばしなどをくっつけてマジックで色つけする。それに輪ゴムをつけてクリップでつなぐとねんどをつけてハイできあがり。

あとは誰のがとおくまでうごくか競争する。シッポのながーいヘビがうごくのもおもしろい。ウサギがヘンなうごき方をするのもおもしろい。カメや蝶々の作品もあった。ひとしきりあそんでからお片づけ。

 

最後のあいさつの前にもう一度考えてみよう。

コップじゃないとできないのかなぁ。 空き箱でもできるんじゃない?

ゴムを二重にするとパワーアップできるかなぁ? 長くするとどうなる? ヘンなことをいろいろ考えてみる。

小学生になってもこのようにヘンなことを考えてみよう。そして、おこられるかもしれないが負けないようにいろいろなことを考えてください。おおくの失敗をしておおきくなってください、ということで最後の美術保育が終了。

 

園長と主任はあいにく不在だったので、ぼくは他の先生たち数人にあいさつして帰ることに・・・。

多くの子どもたちが玄関まで見送ってくれた。「こんどまた会おう」といってぼくはその保育園をあとにした。

 

県美展の審査会

  • 2019.01.24 Thursday
  • 17:55

 

久しぶりに山口県美展の審査会を見学した。今年は当教室からの出品者がけっこういるというので10年ぶりくらいに山口県立美術館を訪ねた。

県美展がこの時期に開催されるというのもめずらしいのだが一部の設備等々の改修工事の関係らしい。それはともかく、学芸員のメンバーも半分以上いれ替わっていて知っているのは斎藤さん、河野さん、荏開津さんくらいだったかもしれない。人のことはいえないがそれも白髪頭になっていたりして風貌がかなり変わっているのでぼくはほとんど浦島太郎の気分。

 

10年ぶりの県美展はやや小粒になっていて正直にいうと何となく迫力不足を感じた。聞くところによると出品者数もやや減少しているようで景気や開催時期のおくれも影響しているのかもしれないということだった。

 

 

それでも、わが教室のメンバーはとても頑張っていたと思う。優秀賞1、佳作賞1、入選2と大いに健闘していたし、結局のところ浜桐さんが搬入してくれた作品はすべて入選入賞となった。また、審査を通じて話題作としても審議にとりあげられ注目された。

残念ながら約一名が入選を果たせなかったのだが、コンペなのだからそういうこともあるしこれは致し方ない。

 

すべての審査が終了し入選者確定の後、選外となっていた中村みどりさんの「だるま」の作品がひとりの審査員から『テーマ性』の視点からということで、すでに入選が確定していた作品「ちょうちん」とともに《対》として展示すべきとの提言があり、あらためて入選に決定されたのはとてもいい提言で嬉しかった。

本人もおもわず審査員にかけより「ありがとうございました」と声をかけると、「あっ、あなたの作品?」「よかったね」とほかの審査員たちの緊張していた表情もほころんだ。

 

 

 

その後、ぼくたちは湯田で落ち合いみんなで祝杯をあげた。明日の‟賞”決定に期待がもてるとあってとても楽しい宴となった。折りしも今宵の月は満月で「明日はいいことあるぞーっ」と大いに盛りあがったのであった。

ホテルの屋上にある露天風呂は一人きりの貸し切り状態だったし、ぼくはそこからひんやりとした空に浮かぶ満月を眺めていた。

 

翌朝、美術館に着くとちょうど各審査員が票を投じているところだった。すでにスミさんと浜桐さんの作品に票が入っていることを確認してぼくは他の人たちの作品もひと通り見てまわることにした。このとき、なかなか他を圧倒する作品がないことに気づいた。「これでは一体どれが大賞になるというのだろう?」誰もがそう思ったのではないか、、、

 

 

はじめに票の入った32作品(?)が佳作賞として集められ決定するとその中から改めて優秀賞として票が投じられ十数点を選出。さらに6点にしぼられて優秀賞を確定した。その中からさらに大賞を選ぶため三人の審査員にそれぞれ一票の票が渡された。その結果、「椹野川沿いのイノシシの行進」という奇妙な作品が選ばれ再度優秀賞以上の作品について論議された。

最後にわが藤本スミさんの「岩国の楠」と「楠の岩国」について興味深い好評が交わされ大いに注目された。

指導的立場にある者としてぼくはマイクをもつべきかとも考えたが長くなるといけないので躊躇した。だが、日ごろ指導していることがほとんど正確に指摘されていておもしろかった。

あとで、審査員の一人にメッセンジャーでメールを送ると「えー、ビックリ 」ということだった。

 

ほかにも岩国から数人の人たちがこの審査会に来られていたけれどどう思ったのだろうか。85才のスミさんが最高齢だったかどうか分からないけれど、わが教室だけでなく岩国の福祉や文化的な実情を考えるととても励みになる嬉しいニュースであることはまちがいない。

本人だけでなくご家族に連絡するとたいへんな騒ぎになっているということだった。

「してやったり、、、」ぼくは密かにこういう状況をつくってみたいと思っていただけに嬉しい気分、とても痛快であった。

 

しょうがくせいだ しゅっぱつだ

  • 2019.01.21 Monday
  • 15:33

 

新年の年明けに『磯崎有輔彫刻展』を訪ねた際、周南文化財団が発行している『かるちゃあ通信 花畠』の冒頭に周南美術博物館の館長有田さんの新年のごあいさつにふれる機会を得ました。

今年は周南市が生んだ詩人・まどみちおさんの生誕110年にあたるとのこと。この著名な詩人の顕彰や研究はいろいろな方々によってすすめられてはいるもののまだまだ未知の部分が多いといわれます。

ここでは『ロケット』という童謡の調査からここに紹介した校歌「しょうがくせいだ しゅっぱつだ』に辿りつき校名もなく漢字もつかわれていないこの校歌が発表されたとき多くの関係者を驚かせたというエピソードを紹介しています。

この新傾向の校歌を詩人・谷川俊太郎は高く評価し、校歌を生きた歌にするのは、生徒と教師がつくっていく歴史そのものにある、とくくられたということです。

 

しょうがくせいだ しゅっぱつだ(作詞:まどみちお 作曲:金光威和雄)

 

けんかを したって ともだちだ

あだなを つけても せんせいだ

やっほー やっほー

しょうがくせいだ しゅっぱつだ

おとなへ むかって

あしたへ むかって

やっほー

 

なんでも ほんきだ てきぱきだ

ゆびきり げんまん まもるんだ

やっほー やっほー

しょうがくせいだ しゅっぱつだ

せかいへ むかって

へいわへ むかって

やっほー

 

ちきゅうが みんなの ふるさとだ

ツクシも メダカも しんるいだ

やっほー やっほー

しょうがくせいだ しゅっぱつだ

きぼうへ むかって

うちゅうへ むかって

やっほー

 

このまなざしは色あせるどころかますます輝きを放っているように思われます。

この国だけでなく、ますます殺伐としていく世界の情勢を見てもこの校歌はぼくたち大人へ向けられているようにも感じとれる気もします。

校名のないじつに不思議な校歌です。

 

凧あげ

  • 2019.01.19 Saturday
  • 19:45

 

 

子どもたちのクラスは凧あげ。みーんな良くあがりましたな。

 

T保育園の子どもたち

  • 2019.01.18 Friday
  • 20:28

 

 

 

新設されたきれいな園舎でのびのびと絵を描いています。今日は『ビニール画』に取り組みました。

 

 

 

まわりをキョロキョロしないでオレのが一番と思って描くんだよ。


 

 

 

友だちの絵もけっこういいぞーっ。

 

磯崎有輔彫刻展

  • 2019.01.11 Friday
  • 20:05

IMG_2644.jpg

 

 

アートドキュメント2004錦帯橋プロジェクトで岩国のぼくたちともお馴染みの彫刻家磯崎有輔さんの大規模な展覧会が明日12日から3月10日まで周南市郷土美術資料館にて開催されます。

磯崎さんは周南市生まれで東京芸大彫刻科コースに学んだ新進気鋭の彫刻家の一人です。

ぼくは周東パストラルホールで行われた作品展で彼の『CELL』という抽象的な作品にふれたのが最初の出会いでした。

その後、錦帯橋プロジェクトに参加していただき参加作家の肖像彫刻を錦雲閣に並べた「ハーモニー」という作品を制作されました。錦帯橋プロジェクトに出品されたその作品は平成の架け替え事業にともなう錦帯橋の解体材料で巨大な台座に設置したもので錦帯橋を訪れた多くの人に注目されました。

このころは具象的な作風でしたがその後2014年だったか東北の被災地を訪ねる前に東京銀座のフォルム画廊で行なわれた個展を横須賀市立美術館の『小林孝亘展』と町田市文学館の『赤瀬川原平と尾辻克彦展』とともに拝見しました。

ところが銀座の画廊は日曜日が休廊ということを忘れていてそのときは残念ながら磯崎さんの個展は画廊のウインドウ越しに小品を観ることしかできませんでした。

今回はそのとき見逃した大作が拝見できそうで楽し みです。

みなさんも是非とも周南市へ足を運んで楽しんでいただければと思います。

 

 

 

 

教室の面々

  • 2019.01.11 Friday
  • 17:22


次々と作品が仕上がっています。これはスミさん。



これは中澤さん。



頑張っていますな。



玉井さんの空の作品も完成しました。



小方さんの犬も何とか仕上がっています。



川部さんもやっと完成しました。

calendar

S M T W T F S
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  
<< January 2019 >>

原田美術教室の活動


♛ 第16回絵画のいろは展
2023年11月15日wed〜11月19日sun
10:00〜18:00
シンフォニア岩国企画展示ホール


この展覧会は、絵を描きはじめて間もない人から山口県美展・岩国市美展など他の美術コンクールや個展などで活躍している大人に加えて、これまでTRY展として活動してきた子どもたちを含む初心者から経験者までの作品を一堂に展示する原田美術教室の研究生およそ20名で構成するものです。 アトリエや教室での日ごろの研究成果を発表すると同時に、人と人、表現と表現のふれあうなかで単に技術の習得のみならず、絵を描くことで何を考え、何を発見することができるかということから、「文化的な営みと豊かさ」あるいは「活力と潤いのある生活」とは何か、という問いについて考える契機となることを願っています。 「絵画のいろは」とは、このように制作上の技術の問題だけでなく、日常生活での活力や潤いのある生活のあり方を考える実践的問いかけに他ならないのです。 特に今回は子どもたちの作品を含めて広く深くそのことを考える風通しのいい構成となっています。研究生として親睦を兼ねたコミュニケーションを大切にし、互いの作品を認める楽しさや表現の多様性について考え、アートのおもしろさを伝えることで地域の芸術文化活動の普及と発展に寄与したいと願うものです。














子どもの作品が大人気








♛ グループ小品展2024
2024年10月3日(水)〜10月6日(日)
10:00−18:00
シンフォニア岩国企画展示ホール



この展覧会グループ小品展は、絵を描きはじめて間もない初心者から山口県美展・岩国市美展など他の美術コンクールや個展などで活躍している経験者までを含む原田美術教室の研究生で構成され、絵画のいろは展とともに隔年で開催するものです。 今回のグループ小品展では、日ごろの研究成果を発表すると同時に、人と人、表現と表現のふれあうなかで単に技術の習得のみならず、絵を描くことで何を考え、何を発見することができるかということ。そして、「文化的な営みと豊かさ」あるいは「活力と潤いのある生活」とは何か、という問いについて考えることを目的としています。 また、グループ研究生として互いの親睦を兼ねたコミュニケーションを大切にし、互いの作品を認める楽しさを発見すると同時に表現の多様性について考え、アートの楽しさを伝えることで地域の芸術文化活動の普及と発展に寄与し貢献したいと願うものです。









 

♛ 山口県美術展覧会2019 2019年2月14日(木)−3月3日(日)9:00−17:00(入館は16:30まで) 
休館日:2月18日(月)、25日(月)
観覧料/一般:500(400)円 学生:400(300)円( )内は20人以上の団体料金
*18歳以下は無料 *70才以上の方、中東教育学校、高等学校、特別支援学校に在学する方等は無料 *障碍者手帳等をご持参の方とその介護の方1名は無料
山口県立美術館

IMG_0840.jpg
優秀賞 藤本スミ

入選 玉井康子

入選 中村みどり



佳作賞 浜桐陽子

原田文明の現況2021展


2021年5月19日wed−5月23日sun
10:00−18:00
シンフォニア岩国企画展示ホール



本展は1990年代のはじめ頃から具体絵画として精力的に発表してきた一連の絵画作品とドローイングとインスタレーションによる新作13点で構成するのものです。













原田文明展 ドローイングインスタレーション2018


2018年11月21日wed−25日sun 10:00−18:00
シンフォニア岩国企画展示ホール











ドローイングインスタレーションは、ここ十数年にわたって絵画表現の可能性について考えてきた一連の営為の中で、偶然とも必然ともいえる結果として発見されたものです。
私はこれまで「具体絵画」と称して、物質(素材)が表現目的の手段として扱われるのではなく、物質のあり方それ自体を色彩やフォルムと等しく絵画の重要な構成要素とする一連の作品を制作してきました。
ここでは行為と物質がもたらす一回性の出来事さえも絵画を成立させる重要な要素として捉え、作為的な感性によって空間へと展開されています。いうまでもなく、そのことによって生成される新しい意味と存在の可能性をリアルな知覚的世界として位置づけ、形而上学的な意味を問いかける主知的な営為と考えてきたのです。
さらに、その表現形式のあり方は平面的な二次元の世界から室内空間(場所)を構成する三次元的な世界へとその機能性を拡張し、ドローイングインスタレーションともいうべき様式へと変容させ意識化されてきたとも云えます。
私にとってもはや絵画は多元的な空間へと自在に移ろうイリュージョンの世界へと変容してきたと云うべきかもしれません。それは身体性を意識したメタフィジカルな実践として存在論的に見えかくれする場面への接近であり、換言すれば世界を包み込む現存(リアルな世界)への希求の現われというべきかも知れないのです。
本展はこれまでの多岐にわたる活動をふまえてたどりついた新作ドローイングインスタレーションの様式にさらに色彩的要素を取り入れることによって新境地への挑戦と可能性を探求する原田文明の現況とその一端を示すものです。

里の芸術一揆「里山 ART Project 吉賀」




本プロジェクトは隔年式のアートビエンナーレとして、将来の「地域」「文化」「くらし」を考える文化的なムーブメント(運動)をつくることを目的とするものです。また、地域の農耕文化や伝統に学び、芸術文化の振興発展と普及のみならず、「生活と芸術」「過去と現在」「人と地域」の交流を軸とする文化による地域づくりについて考えるものです。 このことは、吉賀町がこれまで取り組んできた自然との共存共生を願うエコビレッジ構想と合わせて、人間の営みとしての文化と里山の自然について考えることであり、里山に潜在する魅力とその可能性を再確認し文化意識の変革と活性化を推進するものです。 今回は、現代アートの最前線で活躍する8名のアーティストによる最新作を現地で制作し、地域住民とともにワークショップや生活文化など多方面での活発な交流が実現されるものと考えています。 2010年10月開催予定。

岩瀬成子話題の本棚


ジャングルジム(2022年ゴブリン書房)


ひみつの犬(2022年岩崎書店)
「いい人間になるのって難しいよ」とお姉ちゃんは言った。(p238)
児童文学として哲学的な問いをふくむシリアスな問題を子ども特有の感覚と生き生きとした表現で描いた長編物語。


わたしのあのこあのこのわたし(2021年 PHP研究所)

すれちがいながらも 助け合う ふたりの物語

秋ちゃんはすごく怒っていた。「とりかえしがつかない」と秋ちゃんはいった。
「二度と手に入らない」ともいった。どの言葉もわたしに命中した。
きいている途中から心臓がどきどきしはじめた。
わたしは秋ちゃんの怒った顔だけを見ていた。
秋ちゃんの怒りがどんどんふくらんでいくのがわかった。
秋ちゃんはわたしをゆるしてくれないかもしれない。


ネムノキをきらないで(2020年 文研出版)
この物語はおじいさんの家の庭にあるネムノキをきる話からはじまる。ぼくはネムノキをきることに反対だが枝がのびすぎてあぶなくなったから樹木医さんに相談して剪定してもらうことになった、ということだ。
「だめ、だめ。」と、ぼくは泣きながらいった。「こまったなあ。」とおじいさんはいった。お母さんはぼくの頭をなでようとした。ぼくはその手をふりはらった。「ばかだ。おとなはみんな大ばかだ。」ぼくにはもっといいたいことがあった。ネムノキについて。でも、どういえばいいかわからなかった。(…略)胸のなかは嵐のようだった。いろいろな気もちがぶつかり合っていて、どうすればもとのような落ち着いた気もちになれるのかわからなかった。(本文よりp16〜17)
家に帰った伸夫はつぎの朝、自分の部屋をでるとき何も知らずに柱をとおりかかったイエグモをつぶしてしまったことに気づく。


おとうさんのかお(2020年 佼成出版)

岩瀬成子の最新作「おとうさんのかお」が佼成出版社から出版されました。

「遠くを見ろっていったんだよね。おとうさん」と、わたしはいいました。「え」と、おとうさんはわたしをみました。「わたし、思いだした。このまえ、大川で思いだしかけていたこと。じてん車のれんしゅうをしていたときのこと。おとうさんは、『目の前ばっかり見てちゃだめ。もっと先のほうを見なきゃ』っていったよ」「そうだったかな」「『先のほうだけでもだめ、ときどき、ずっと遠くを見るんだ。ずっとずっと遠くだよ。山のむこう遠く』っていったよ」(本文よりp87)


もうひとつの曲り角(2019年 講談社)
野間児童文芸賞、小学館文学賞、産経児童出版文化賞大賞、IBBYオナーリスト賞など数々の賞を受賞する岩瀬成子氏の最新長編作品。

柵には半開きになった木の扉がついていて、その扉に「どうぞお入りください」と青色のマジックで書かれた板がぶらさがっていた。 「いやだ。あたしはそんなところへは、ぜったいに入らないから」ときこえた。 えっ。どきんとした。 庭木のむこうからだった。わたしにむかっていったんだろうか。 わたしは耳をすまして、木々にさえぎられて見えない庭のようすをうかがった。 しんとしていた。 だれがいるんだろう。 わたしはぶらさがっている板をもう一度見た。 それから足音を立てないようにして、そっと扉のあいだから庭に入っていった。しかられたら、すぐににげだすつもりだった。ちょっとだけ、のぞいてみたかった。──本文より。 小学五年のわたしと中一の兄は二ヶ月前、母の理想の新しい家、市の東側から西側へ引っ越してきた。この町で通い出した英会話スクールが休講だったので、わたしはふと通ったことのない道へ行ってみたくなる。道のずっと先には道路にまで木の枝が伸びている家があり、白い花がちらほらと咲いて・・・・。

日本絵本賞、講談社出版文化賞、ブラチスラバ世界絵本原画展金牌、オランダ銀の石筆賞など受賞の酒井駒子氏による美しい装画にも注目!

地図を広げて.jpg

地図を広げて(2018年 偕成社)
父親と2人暮らしの鈴のもとに、母親が倒れたという知らせがとどく。母はそのまま亡くなってしまい、母親のもとにいた弟の圭が、鈴たちといっしょに暮らすことになった。 たがいに離れていた時間のこと、それぞれがもつ母親との思い出。さまざまな思いをかかえて揺れ動く子どもたちの感情をこまやかにとらえ、たがいを思いやりながら、手探りでつくる新しい家族の日々をていねいに描いた感動作。


ともだちのときちゃん(2017年 フレーベル館)
フレーベル館【おはなしのまどシリーズ】として出版された岩瀬成子の新刊『ともだちのときちゃん』は、イメージの広がりとこの年頃の子どもが経験する瑞々しい出会いにあふれています。(略)著者はそういう細部をみつめる子どもの感情をとてもよく描いていて、このお話しの最後のところでたくさんのコスモスの花にかこまれて青い空と雲をみつながら「ぜんぶ、ぜんぶ、きれいだねえ」とふたりの気持ちをつたえています。

517ydey48iL._SX361_BO1,204,203,200_.jpg
ちょっとおんぶ(2017年 講談社)
6才のこども特有のイノセントな感覚世界。この年ごろの人間だけが経験できる世界認識のあり方が本当にあるのかもしれない。あっていいとも思うし、ぼくはそれを信じていいようにも思います。名作「もりのなか」(マリー・ホール・エッツ)が普遍的に愛読されるのもこの点で納得できる気がするのです。
この本の帯にあるように、絵本を卒業する必要はないけれど絵本を卒業したお子さんのひとり読みや、読みきかせにぴったり!といえるかもしれません。どうぞ、手にとって読んでみてくださいね。

DSC02741 (480x640).jpg
マルの背中(2016年 講談社)
父と弟の理央が暮らす家を出て母と二人で生活する亜澄は、駄菓子屋のおじさんから近所で評判の“幸運の猫”を預かることに。野間児童文芸賞、小学館文学賞、産経児童出版文化大賞受賞作家による感動作!

51R+Apq-0JL._SX370_BO1,204,203,200_.jpg
ぼくが弟にしたこと(2015年 理論社)
成長の予兆を感じさせるように父と再会した麻里生には、次第に人混みにまぎれていく父の姿は特別な人には見えなかった。著者は帯にこう書き記している。どの家庭にも事情というものがあって、その中で子どもは生きるしかありません。それが辛くて誰にも言えない事だとしても、言葉にすることで、なんとかそれを超えるきっかけになるのでは、と思います。

141031_1706~01.jpg 
きみは知らないほうがいい(2014年 文研出版)
2015年度産経児童出版文化大賞受賞。
クニさんの失踪、クラスメートの関係性が微妙に変化するいくつかのエピソード、昼間くんの手紙、錯綜するその渦の中で二人の心の変化と移ろいを軸に物語は複雑な展開をみせる。
最終章、米利の手紙にはこう書いてある。それはぐるぐると自然に起きる渦巻のようなものだった。「いじめ」という言葉でいいあらわせない出来事があちこちで渦巻いている学校。
それでも明るい光に照らされている学校。そして苦い汁でぬるぬるとしている学校。学校よ、と思う。そんなに偉いのか。そんなに強いのか。そんなに正しいのか。わたしは手でポケットの上をぽんぽんとたたいた。

41J43ixHw8L._SS400_ (2).jpg
あたらしい子がきて(2014年 岩崎書店)
前作『なみだひっこんでろ』の続編のようでもあり、“みき”と“るい”姉妹のお話となっているけれど、ストーリーそのものはそれとはちがうまったく新しいものである。 ここでは、お母さんのお母さんとその姉、つまり“おばあちゃん”と“おおばあちゃん”という姉妹がいて、知的障害のある57歳の“よしえちゃん”とその弟の“あきちゃん”の姉弟が登場する。 このように“みき”と“るい”姉妹の周りにもそれぞれの兄弟が重層的に描かれている。
第52回野間児童文芸賞、JBBY賞、IBBYオナーリスト賞を受賞。

69663364.jpg
くもりときどき晴レル(2014年 理論社)
ひとを好きになるとどうして普通の気持ちじゃなくなるのだろう。誰でもこのような不思議な感情に戸惑いを感じることがある。恋愛感情とも云えないやりきれない気持ちの動きと戸惑いをともなう心理状態のことだ。 本著は、「アスパラ」「恋じゃなくても」「こんちゃん」「マスキングテープ」「背中」「梅の道」という6つの物語で構成された短編集であるけれど、思春期を向かえる少し前になるそれぞれの子どもの現在としてそのやわらかい気持ちの揺れを瑞々しいタッチで描いたもの。

413lMQXsDeL._SS500_.jpg
なみだひっこんでろ(2012年 岩崎書店)
今年度第59回課題図書に決定!

414gBTpL75L._SX334_BO1,204,203,200_.jpg
ピース・ヴィレッジ(2011年 偕成社)


大人になっていく少女たちをみずみずしく描く
「最後の場面のあまりのうつくしさに言葉をうしなった。私たちは覚えている、子どもからゆっくりと大人になっていく、あのちっともうつくしくない、でも忘れがたい、金色の時間のことを。」 角田光代
基地の町にすむ小学6年生の楓と中学1年生の紀理。自分をとりまく世界に一歩ずつふみだしていく少女たちをみずみずしく描いた児童文学。
偕成社から好評新刊発売中!

518ICmgpwKL._SS500_.jpg
 
だれにもいえない(岩瀬成子著・網中いづる画、毎日新聞社)


小さな女の子のラヴストーリー。
点くんをきらいになれたらな、と急に思った。 きらいになったら、わたしは元どおりのわたしにもどれる気がする。 だれにも隠しごとをしなくてもすむし、 びくびくしたり、どきどきしたりしなくてもすむ。(本文より)
4年生の女の子はデリケートだ。 せつなくて、あったかい、岩瀬成子の世界。 おとなも、子どもたちにもおすすめの一冊。

100917_2226~01.jpg
まつりちゃん(岩瀬成子著、理論社)
この作品は連作短編集という形式で構成され、抑制の効いた淡々とした表現で描かれているところが新鮮である。各篇ごとにちがった状況が設定され登場人物(老人から子ども)たちはそれぞれ不安、孤独、ストレスといった現代的な悩みを抱えている。その中で全篇を通して登場する“まつりちゃん”という小さな女の子は、天使のように無垢なる存在として現れる。その女の子と関わることによって物語は不思議なこと癒しの地平へと開示され、文学的世界が立ち上がるかのようだ。 岩瀬成子の新しい文学的境地を感じさせる魅力的な一冊ともいえる。

IMG_0104.jpg

オール・マイ・ラヴィング(岩瀬成子著、集英社)

■ 1966年、ビートルズが日本にやって来た!14歳の少女が住む町にビートルズファンは一人だけだった。 ■ 「オール マイ ラヴィング」とビートルズは歌う。聴いていると、だんだんわたしは内側からわたしではなくなっていく。外側にくっついているいろいろなものを振り落として、わたしは半分わたしではなくなる。ビートルズに染まったわたしとなる。 ■ 岩瀬成子の新刊、1月31日集英社から好評発売中。“あの時代”を等身大の少女の目でみつめた感動の書き下ろし長編小説 『オール・マイ・ラヴィング』 ■ ビートルズ ファン必見の文学はこれだ!

51dCgDlcLQL._SS500_.jpg
そのぬくもりはきえない(岩瀬成子著、偕成社)
■ 日本児童文学者協会賞受賞


朝はだんだん見えてくる 理論社.jpg
朝はだんだん見えてくる(岩瀬成子著、理論社) ■ 1977年、岩瀬成子のデビュー作。本書はそのリニューアル版で理論社の『名作の森』シリーズとして再発行されたもの。

selected entries

categories

archives

recent comment

recent trackback

links

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM