ピコちゃん、ご無沙汰しています。

  • 2012.05.25 Friday
  • 17:44
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画像をクリックしてください

お久しぶりですねピコちゃん。お元気そうで何よりです。
実はもうどこかへ行かれたのかと気になっていました。

あなたにはじめてお会いしたのは確か2009年の6月17日でしたね。
お会いできてうれしいです。冬には冬眠されていたのですね。

最近は下にある池の鯉もいなくなってさびしくなったでしょう。

ぼくたちはとなりのアトリエに移っているのですよ。

あなたも隣に越してきてくださいよ。
もう、その家は取り壊しになるのですよ。

お隣のアトリエには、紫陽花や菖蒲の花もきれいに咲いているしいいですよ。

 

猫ドア取りつけの巻

  • 2012.05.21 Monday
  • 16:39
昨日の主な仕事は長年夢みた「猫ドア」をつけること。
どうしてこんなことに気づかなかったのだろう、と不思議に思う。
ネットで調べたら、猫グッズの代表格として、いろいろなのがあるじゃなーい・・・
取り付けも簡単。あっという間に出来上がり。


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いいでしょう・・・・
でも、なかなかここを使ってくれないんだよ。

どうしたらいいんだろう????
カミさんは「焦るな」というが、上手い方法はないものだろうか。


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わきを見れば、色あざやかな万両の実が・・・

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松の横にはこんな白い小さな花が咲き誇っていた。
生垣に使うような小さな花だけどきれいなものだなあ、と感心する。




 

なみだひっこんでろ

  • 2012.05.19 Saturday
  • 10:39

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『なみだひっこんでろ』(岩瀬成子著、上路ナオ子絵、岩崎書店)



好評発売! 岩瀬成子著『なみだひっこんでろ』

 

一つちがいの姉妹(みきとるい)、おねえちゃんはすぐに泣きます。いもうとのわたしは耳もとで「なみだひっこんでろ」とつぶやきます。

おねえさんは学校から帰るといつも、近所でかわれている犬やネコの様子を見に行きます。そこの犬ゴローに事件が…

 

岩瀬成子がはじめて描く“幼年童話”の世界。上路ナオ子さんのセンス抜群の挿画もきわだっています。

 

好評の前作『まつりちゃん』(2010年 理論社)もそうですが、この二人のコンビはとても息があっていて新しさと心地よさを感じさせますね。

どうぞどうぞ、手にとってお楽しみくださ〜い。

 


 

 

目眩

  • 2012.05.18 Friday
  • 19:43
この間(17日)、錦町のひろせ保育園に出かけようとして車を出した途端に目眩が・・・
何かヘンな感じはあったのだが、どうも不安なので急きょ取りやめにした。
早々に園の方へ連絡して,後日日程調整をすることにした。やや睡眠不足ということもあって少し眠ることに。
木曜日の午後は休診となっているので11時ごろ主治医のやすだクリニックまでタクシーで行くことになった。

予想した通り、どでかい注射のメイロンをうった。これはほとんどが重曹なのだそうな・・・。重曹を投入すると目眩が止まるということになっているらしい。
以前にも目眩がしたことがあって、このときは点滴をした。点滴の成分をきくと、やはりメイロンと同じ重曹だということだった。
血圧もやや下が高いということで、これが原因なのか目眩が原因でこうなっているのか分からないが血圧が気になるのでこれを処方することになった。

けっきょく安定剤と三半規管の血流を良くする薬を処方してもらって帰った。安定剤というから「デパスなのか」と聞くと、「いや、デパスより少し軽いものにする」と主治医のY。
「メイロンはあまり効かないんだよな」といいながら、「以前は気分転換したほうが良いと思って思い切ってスイミングなどしていた。」と云ってやったら、「そりゃあ、良いことだよ。けど、今の状態じゃやめたほうがいいな。下が100あるときはダメ」などという。
だから、この日の予定を全て取りやめ午後からは眠ることにした。夜の飲み会も取りやめたが、夕食後水割りを2〜3杯飲んでまた床に就いた。

小さい頃から回転木馬や回転遊具が大きらいだった。眼が回って気分が悪くなるし、バス酔いにもなりやすいタイプだった。このことも影響しているのかもしれない。
翌日は何とか通常の仕事はこなせたが、若干の目眩はまだ残っているような気分・・・。








憲法記念日から考えていること

  • 2012.05.18 Friday
  • 11:56

憲法改正をめぐる最近の動きとして、山口2区選出の衆議院議員平岡秀夫前法務大臣は自身のブログで橋下大阪市長らの「維新八策」や自民党の改正試案を取り上げ、総じて憲法というものは、「国民が権力の側を縛る」のが本質なのに「権力の側が国民に行動や価値観を指示する」内容を目指している、と指摘。

このことは53日の憲法記念日に“九条の会いわくに“が行なった東海大学法科大学院教授永山茂樹先生の講演内容とも一致している。

すなわち、新自由主義の問題点として基本的人権・生存権の侵害、また地方における「公」や「心の自由」の縮小、「民主主義」の縮小につながっていることを危惧している点である。

とりわけ、「選挙で選ばれた政治家は、その任期中はある意味で白紙委任された独裁者である。」とばかりに振舞う橋下徹大阪市長らの基本的人権の侵害ともいえる独断的な行動には大いに注意をよび掛けている。

個人的に気になるのはぼくたちの日常生活において、「理念と現実」のギャップを感じるケースが多々あることである。たとえば、教育問題などについてその理念、あるいは保育理念をかかげながらも、時代の移り変わりとともに家族構成のあり方や地域や家族の格差の広がり、さらに価値観や生活意識も多様化しているという現実がある。

地域のコミュニティーは失われ、孤立した生活がさらに進行していることも事実なのだ。

憲法を国のあり方を示す理念と考えれば、この憲法が制定されてすでに戦後65年、その間において冷戦構造は消滅し軍事的経済的実情も変化した。憲法成立過程の問題だけでなく、実情をふまえた現実的な改正を求めるのも当然のように思える。

平岡氏の立脚点はあくまでも国連主義。目指すべき日本の安全保障政策として、国連憲章でも認められている地域的集団安全保障体制の構築を東アジア地域において目指すことである、としている。

例えば、「東アジア共同体」構想をかかげ、EU共同体のように地域的集団安全保障体制を目指すべきだという。つまりは、それが地域住民に大きな負担をもたらしている在日米軍基地の縮小・撤去へとつながる、ということなのだ。

だが、現実は先の北朝鮮のミサイル発射(宇宙開発ロケット)に対して、いみじくも露呈されたようにこの国の国防体制(意識)の欠落は如何様にとらえればいいのか。それでも現場の自衛隊の士気は高いとされている。

問題は防衛省から内閣官房、総理を含む体制に主体的国防意識が現実的ではないということ。同盟国の在日米軍は配備されていても国防に関わる行動の直接的主体性は日本でなければならない、ということなのだ。

国防だけでなく経済的活動にいたるまで属国扱いにされる現実への拒否と戦争に負けたとはいえアイデンティティーへの渇望感は憲法改正への充分な動機になりうるのではないだろうか。ぼくはそう思う。

 

『雨月物語』(1953年、溝口健二監督作品)

  • 2012.05.16 Wednesday
  • 16:48

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森雅之と京マチ子


バルセロナの友人、泊佐奈恵さんの情報で映画『雨月物語』を全編とおして鑑賞した。
原作:上田秋成、脚本:川口松太郎、監督:溝口健二のこの作品は、いつみても新鮮な驚きを感じるものがあってとてもおもしろい。
小津安二郎の『東京物語』(1953年)も同じように他愛のないシンプルな物語なのだが、それゆえに演技や演出による高度な映像表現を成立させているともいえそうだ。
この映画『雨月物語』では妖艶な京マチ子や主役の森雅之の演技も素晴らしかったが、空想と現実が交差する自然な展開が高度なリアリティとして生成されていることに感動した。

最近、ひと昔前の良質の日本映画を鑑賞したいと思っている。小津安二郎、成瀬巳喜男、溝口健二、黒澤明らの全ての作品を鑑賞するにはどうしたら良いのだろう。
この間、ツタヤに行ってみると、韓流ブームの煽りなのか韓国ドラマが店内の半分以上を占めているような感じがした。日本映画をもっとおいて欲しいものだ。



 

ムカデ第1号

  • 2012.05.14 Monday
  • 11:30
ムカデ第1号発生(全長12cm程度)。
日曜日に鉢の土を入れ替えていたカミさんが遭遇。

どういうわけかいつもカミさんが第一発見者となる。
ぼくはいつも処理班。


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ぼくはひたすら庭木の剪定。
ツツジ、コデマリ、ユキヤナギ、マツなどをやっつける。

次週は草刈機で山際の草の刈り入れをして今年は一応終了となる。
ぼちぼちキューリの苗を植えるかな・・・


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結構、でかいでしょう・・・
これにやられたら大変だ!



 

モクモク

  • 2012.05.12 Saturday
  • 20:32

岩国の城山、この新緑のモクモク感はすごいですね。
でも、昨日今日は澄みきった空気が主役・・・。いつもより山が近くに感じられるから不思議です。




 

個展の日程が決まる

  • 2012.05.11 Friday
  • 18:18
今年は予定していた第3回クロスアート展は中止となりました。10月に準備していた展覧会もぼくの個展で調整することになりました。

ちなみに、会場はシンフォニア岩国の全企画展示室で会期は10月24日(水)から28日(日)まで。時間は10:00〜18:00となります。
展覧会の名称は「原田文明の現況2012展」となります。


ぼくとしては一昨年の周東パストラルホールに継ぐ、まとまった個展になると思います。

全てを新作でやるかどうかは未定ですが、乞うご期待といったところですね。




 

OG・タチカワ

  • 2012.05.11 Friday
  • 14:21

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当教室の受験コースから京都造形芸大のプロダクトデザインに進学した立川歩(高水高校)のことが同大学の大学案内(2012年版)で紹介されている。

卒展で学長賞を受賞した同OGの佐藤真美(岩国高校)のことはこのブログでも紹介したことがあるけれど、ここではイタリアのメーカー「ALESSI」が募集したテーマ「スモール・ライフ」のコンペで最高の評価をいただいて大きな自信になった、との本人のコメント入りで詳しく紹介されている。



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受験中、所属していた女子ハンドボール部の「ぶちがんばる」「根性」「一球入魂」などの文字が背中に書いてある3種類のTシャツを着て頑張っていた頃が思い出される。

笑顔の可愛いボーイッシュな感じだった娘は、いつの間にかしとやかな感じの髪の長い女性になっているではないか。

このヤロー・・・ふざけている。




 

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原田美術教室の活動


♛ 第16回絵画のいろは展
2023年11月15日wed〜11月19日sun
10:00〜18:00
シンフォニア岩国企画展示ホール


この展覧会は、絵を描きはじめて間もない人から山口県美展・岩国市美展など他の美術コンクールや個展などで活躍している大人に加えて、これまでTRY展として活動してきた子どもたちを含む初心者から経験者までの作品を一堂に展示する原田美術教室の研究生およそ20名で構成するものです。 アトリエや教室での日ごろの研究成果を発表すると同時に、人と人、表現と表現のふれあうなかで単に技術の習得のみならず、絵を描くことで何を考え、何を発見することができるかということから、「文化的な営みと豊かさ」あるいは「活力と潤いのある生活」とは何か、という問いについて考える契機となることを願っています。 「絵画のいろは」とは、このように制作上の技術の問題だけでなく、日常生活での活力や潤いのある生活のあり方を考える実践的問いかけに他ならないのです。 特に今回は子どもたちの作品を含めて広く深くそのことを考える風通しのいい構成となっています。研究生として親睦を兼ねたコミュニケーションを大切にし、互いの作品を認める楽しさや表現の多様性について考え、アートのおもしろさを伝えることで地域の芸術文化活動の普及と発展に寄与したいと願うものです。














子どもの作品が大人気








♛ グループ小品展2024
2024年10月3日(水)〜10月6日(日)
10:00−18:00
シンフォニア岩国企画展示ホール



この展覧会グループ小品展は、絵を描きはじめて間もない初心者から山口県美展・岩国市美展など他の美術コンクールや個展などで活躍している経験者までを含む原田美術教室の研究生で構成され、絵画のいろは展とともに隔年で開催するものです。 今回のグループ小品展では、日ごろの研究成果を発表すると同時に、人と人、表現と表現のふれあうなかで単に技術の習得のみならず、絵を描くことで何を考え、何を発見することができるかということ。そして、「文化的な営みと豊かさ」あるいは「活力と潤いのある生活」とは何か、という問いについて考えることを目的としています。 また、グループ研究生として互いの親睦を兼ねたコミュニケーションを大切にし、互いの作品を認める楽しさを発見すると同時に表現の多様性について考え、アートの楽しさを伝えることで地域の芸術文化活動の普及と発展に寄与し貢献したいと願うものです。









 

♛ 山口県美術展覧会2019 2019年2月14日(木)−3月3日(日)9:00−17:00(入館は16:30まで) 
休館日:2月18日(月)、25日(月)
観覧料/一般:500(400)円 学生:400(300)円( )内は20人以上の団体料金
*18歳以下は無料 *70才以上の方、中東教育学校、高等学校、特別支援学校に在学する方等は無料 *障碍者手帳等をご持参の方とその介護の方1名は無料
山口県立美術館

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優秀賞 藤本スミ

入選 玉井康子

入選 中村みどり



佳作賞 浜桐陽子

原田文明の現況2021展


2021年5月19日wed−5月23日sun
10:00−18:00
シンフォニア岩国企画展示ホール



本展は1990年代のはじめ頃から具体絵画として精力的に発表してきた一連の絵画作品とドローイングとインスタレーションによる新作13点で構成するのものです。













原田文明展 ドローイングインスタレーション2018


2018年11月21日wed−25日sun 10:00−18:00
シンフォニア岩国企画展示ホール











ドローイングインスタレーションは、ここ十数年にわたって絵画表現の可能性について考えてきた一連の営為の中で、偶然とも必然ともいえる結果として発見されたものです。
私はこれまで「具体絵画」と称して、物質(素材)が表現目的の手段として扱われるのではなく、物質のあり方それ自体を色彩やフォルムと等しく絵画の重要な構成要素とする一連の作品を制作してきました。
ここでは行為と物質がもたらす一回性の出来事さえも絵画を成立させる重要な要素として捉え、作為的な感性によって空間へと展開されています。いうまでもなく、そのことによって生成される新しい意味と存在の可能性をリアルな知覚的世界として位置づけ、形而上学的な意味を問いかける主知的な営為と考えてきたのです。
さらに、その表現形式のあり方は平面的な二次元の世界から室内空間(場所)を構成する三次元的な世界へとその機能性を拡張し、ドローイングインスタレーションともいうべき様式へと変容させ意識化されてきたとも云えます。
私にとってもはや絵画は多元的な空間へと自在に移ろうイリュージョンの世界へと変容してきたと云うべきかもしれません。それは身体性を意識したメタフィジカルな実践として存在論的に見えかくれする場面への接近であり、換言すれば世界を包み込む現存(リアルな世界)への希求の現われというべきかも知れないのです。
本展はこれまでの多岐にわたる活動をふまえてたどりついた新作ドローイングインスタレーションの様式にさらに色彩的要素を取り入れることによって新境地への挑戦と可能性を探求する原田文明の現況とその一端を示すものです。

里の芸術一揆「里山 ART Project 吉賀」




本プロジェクトは隔年式のアートビエンナーレとして、将来の「地域」「文化」「くらし」を考える文化的なムーブメント(運動)をつくることを目的とするものです。また、地域の農耕文化や伝統に学び、芸術文化の振興発展と普及のみならず、「生活と芸術」「過去と現在」「人と地域」の交流を軸とする文化による地域づくりについて考えるものです。 このことは、吉賀町がこれまで取り組んできた自然との共存共生を願うエコビレッジ構想と合わせて、人間の営みとしての文化と里山の自然について考えることであり、里山に潜在する魅力とその可能性を再確認し文化意識の変革と活性化を推進するものです。 今回は、現代アートの最前線で活躍する8名のアーティストによる最新作を現地で制作し、地域住民とともにワークショップや生活文化など多方面での活発な交流が実現されるものと考えています。 2010年10月開催予定。

岩瀬成子話題の本棚


ジャングルジム(2022年ゴブリン書房)


ひみつの犬(2022年岩崎書店)
「いい人間になるのって難しいよ」とお姉ちゃんは言った。(p238)
児童文学として哲学的な問いをふくむシリアスな問題を子ども特有の感覚と生き生きとした表現で描いた長編物語。


わたしのあのこあのこのわたし(2021年 PHP研究所)

すれちがいながらも 助け合う ふたりの物語

秋ちゃんはすごく怒っていた。「とりかえしがつかない」と秋ちゃんはいった。
「二度と手に入らない」ともいった。どの言葉もわたしに命中した。
きいている途中から心臓がどきどきしはじめた。
わたしは秋ちゃんの怒った顔だけを見ていた。
秋ちゃんの怒りがどんどんふくらんでいくのがわかった。
秋ちゃんはわたしをゆるしてくれないかもしれない。


ネムノキをきらないで(2020年 文研出版)
この物語はおじいさんの家の庭にあるネムノキをきる話からはじまる。ぼくはネムノキをきることに反対だが枝がのびすぎてあぶなくなったから樹木医さんに相談して剪定してもらうことになった、ということだ。
「だめ、だめ。」と、ぼくは泣きながらいった。「こまったなあ。」とおじいさんはいった。お母さんはぼくの頭をなでようとした。ぼくはその手をふりはらった。「ばかだ。おとなはみんな大ばかだ。」ぼくにはもっといいたいことがあった。ネムノキについて。でも、どういえばいいかわからなかった。(…略)胸のなかは嵐のようだった。いろいろな気もちがぶつかり合っていて、どうすればもとのような落ち着いた気もちになれるのかわからなかった。(本文よりp16〜17)
家に帰った伸夫はつぎの朝、自分の部屋をでるとき何も知らずに柱をとおりかかったイエグモをつぶしてしまったことに気づく。


おとうさんのかお(2020年 佼成出版)

岩瀬成子の最新作「おとうさんのかお」が佼成出版社から出版されました。

「遠くを見ろっていったんだよね。おとうさん」と、わたしはいいました。「え」と、おとうさんはわたしをみました。「わたし、思いだした。このまえ、大川で思いだしかけていたこと。じてん車のれんしゅうをしていたときのこと。おとうさんは、『目の前ばっかり見てちゃだめ。もっと先のほうを見なきゃ』っていったよ」「そうだったかな」「『先のほうだけでもだめ、ときどき、ずっと遠くを見るんだ。ずっとずっと遠くだよ。山のむこう遠く』っていったよ」(本文よりp87)


もうひとつの曲り角(2019年 講談社)
野間児童文芸賞、小学館文学賞、産経児童出版文化賞大賞、IBBYオナーリスト賞など数々の賞を受賞する岩瀬成子氏の最新長編作品。

柵には半開きになった木の扉がついていて、その扉に「どうぞお入りください」と青色のマジックで書かれた板がぶらさがっていた。 「いやだ。あたしはそんなところへは、ぜったいに入らないから」ときこえた。 えっ。どきんとした。 庭木のむこうからだった。わたしにむかっていったんだろうか。 わたしは耳をすまして、木々にさえぎられて見えない庭のようすをうかがった。 しんとしていた。 だれがいるんだろう。 わたしはぶらさがっている板をもう一度見た。 それから足音を立てないようにして、そっと扉のあいだから庭に入っていった。しかられたら、すぐににげだすつもりだった。ちょっとだけ、のぞいてみたかった。──本文より。 小学五年のわたしと中一の兄は二ヶ月前、母の理想の新しい家、市の東側から西側へ引っ越してきた。この町で通い出した英会話スクールが休講だったので、わたしはふと通ったことのない道へ行ってみたくなる。道のずっと先には道路にまで木の枝が伸びている家があり、白い花がちらほらと咲いて・・・・。

日本絵本賞、講談社出版文化賞、ブラチスラバ世界絵本原画展金牌、オランダ銀の石筆賞など受賞の酒井駒子氏による美しい装画にも注目!

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地図を広げて(2018年 偕成社)
父親と2人暮らしの鈴のもとに、母親が倒れたという知らせがとどく。母はそのまま亡くなってしまい、母親のもとにいた弟の圭が、鈴たちといっしょに暮らすことになった。 たがいに離れていた時間のこと、それぞれがもつ母親との思い出。さまざまな思いをかかえて揺れ動く子どもたちの感情をこまやかにとらえ、たがいを思いやりながら、手探りでつくる新しい家族の日々をていねいに描いた感動作。


ともだちのときちゃん(2017年 フレーベル館)
フレーベル館【おはなしのまどシリーズ】として出版された岩瀬成子の新刊『ともだちのときちゃん』は、イメージの広がりとこの年頃の子どもが経験する瑞々しい出会いにあふれています。(略)著者はそういう細部をみつめる子どもの感情をとてもよく描いていて、このお話しの最後のところでたくさんのコスモスの花にかこまれて青い空と雲をみつながら「ぜんぶ、ぜんぶ、きれいだねえ」とふたりの気持ちをつたえています。

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ちょっとおんぶ(2017年 講談社)
6才のこども特有のイノセントな感覚世界。この年ごろの人間だけが経験できる世界認識のあり方が本当にあるのかもしれない。あっていいとも思うし、ぼくはそれを信じていいようにも思います。名作「もりのなか」(マリー・ホール・エッツ)が普遍的に愛読されるのもこの点で納得できる気がするのです。
この本の帯にあるように、絵本を卒業する必要はないけれど絵本を卒業したお子さんのひとり読みや、読みきかせにぴったり!といえるかもしれません。どうぞ、手にとって読んでみてくださいね。

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マルの背中(2016年 講談社)
父と弟の理央が暮らす家を出て母と二人で生活する亜澄は、駄菓子屋のおじさんから近所で評判の“幸運の猫”を預かることに。野間児童文芸賞、小学館文学賞、産経児童出版文化大賞受賞作家による感動作!

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ぼくが弟にしたこと(2015年 理論社)
成長の予兆を感じさせるように父と再会した麻里生には、次第に人混みにまぎれていく父の姿は特別な人には見えなかった。著者は帯にこう書き記している。どの家庭にも事情というものがあって、その中で子どもは生きるしかありません。それが辛くて誰にも言えない事だとしても、言葉にすることで、なんとかそれを超えるきっかけになるのでは、と思います。

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きみは知らないほうがいい(2014年 文研出版)
2015年度産経児童出版文化大賞受賞。
クニさんの失踪、クラスメートの関係性が微妙に変化するいくつかのエピソード、昼間くんの手紙、錯綜するその渦の中で二人の心の変化と移ろいを軸に物語は複雑な展開をみせる。
最終章、米利の手紙にはこう書いてある。それはぐるぐると自然に起きる渦巻のようなものだった。「いじめ」という言葉でいいあらわせない出来事があちこちで渦巻いている学校。
それでも明るい光に照らされている学校。そして苦い汁でぬるぬるとしている学校。学校よ、と思う。そんなに偉いのか。そんなに強いのか。そんなに正しいのか。わたしは手でポケットの上をぽんぽんとたたいた。

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あたらしい子がきて(2014年 岩崎書店)
前作『なみだひっこんでろ』の続編のようでもあり、“みき”と“るい”姉妹のお話となっているけれど、ストーリーそのものはそれとはちがうまったく新しいものである。 ここでは、お母さんのお母さんとその姉、つまり“おばあちゃん”と“おおばあちゃん”という姉妹がいて、知的障害のある57歳の“よしえちゃん”とその弟の“あきちゃん”の姉弟が登場する。 このように“みき”と“るい”姉妹の周りにもそれぞれの兄弟が重層的に描かれている。
第52回野間児童文芸賞、JBBY賞、IBBYオナーリスト賞を受賞。

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くもりときどき晴レル(2014年 理論社)
ひとを好きになるとどうして普通の気持ちじゃなくなるのだろう。誰でもこのような不思議な感情に戸惑いを感じることがある。恋愛感情とも云えないやりきれない気持ちの動きと戸惑いをともなう心理状態のことだ。 本著は、「アスパラ」「恋じゃなくても」「こんちゃん」「マスキングテープ」「背中」「梅の道」という6つの物語で構成された短編集であるけれど、思春期を向かえる少し前になるそれぞれの子どもの現在としてそのやわらかい気持ちの揺れを瑞々しいタッチで描いたもの。

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なみだひっこんでろ(2012年 岩崎書店)
今年度第59回課題図書に決定!

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ピース・ヴィレッジ(2011年 偕成社)


大人になっていく少女たちをみずみずしく描く
「最後の場面のあまりのうつくしさに言葉をうしなった。私たちは覚えている、子どもからゆっくりと大人になっていく、あのちっともうつくしくない、でも忘れがたい、金色の時間のことを。」 角田光代
基地の町にすむ小学6年生の楓と中学1年生の紀理。自分をとりまく世界に一歩ずつふみだしていく少女たちをみずみずしく描いた児童文学。
偕成社から好評新刊発売中!

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だれにもいえない(岩瀬成子著・網中いづる画、毎日新聞社)


小さな女の子のラヴストーリー。
点くんをきらいになれたらな、と急に思った。 きらいになったら、わたしは元どおりのわたしにもどれる気がする。 だれにも隠しごとをしなくてもすむし、 びくびくしたり、どきどきしたりしなくてもすむ。(本文より)
4年生の女の子はデリケートだ。 せつなくて、あったかい、岩瀬成子の世界。 おとなも、子どもたちにもおすすめの一冊。

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まつりちゃん(岩瀬成子著、理論社)
この作品は連作短編集という形式で構成され、抑制の効いた淡々とした表現で描かれているところが新鮮である。各篇ごとにちがった状況が設定され登場人物(老人から子ども)たちはそれぞれ不安、孤独、ストレスといった現代的な悩みを抱えている。その中で全篇を通して登場する“まつりちゃん”という小さな女の子は、天使のように無垢なる存在として現れる。その女の子と関わることによって物語は不思議なこと癒しの地平へと開示され、文学的世界が立ち上がるかのようだ。 岩瀬成子の新しい文学的境地を感じさせる魅力的な一冊ともいえる。

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オール・マイ・ラヴィング(岩瀬成子著、集英社)

■ 1966年、ビートルズが日本にやって来た!14歳の少女が住む町にビートルズファンは一人だけだった。 ■ 「オール マイ ラヴィング」とビートルズは歌う。聴いていると、だんだんわたしは内側からわたしではなくなっていく。外側にくっついているいろいろなものを振り落として、わたしは半分わたしではなくなる。ビートルズに染まったわたしとなる。 ■ 岩瀬成子の新刊、1月31日集英社から好評発売中。“あの時代”を等身大の少女の目でみつめた感動の書き下ろし長編小説 『オール・マイ・ラヴィング』 ■ ビートルズ ファン必見の文学はこれだ!

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そのぬくもりはきえない(岩瀬成子著、偕成社)
■ 日本児童文学者協会賞受賞


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朝はだんだん見えてくる(岩瀬成子著、理論社) ■ 1977年、岩瀬成子のデビュー作。本書はそのリニューアル版で理論社の『名作の森』シリーズとして再発行されたもの。

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