CROSS ART 2011 Hiroshima-Iwakuni

  • 2011.05.31 Tuesday
  • 12:37


クロスアート 2011 広島-岩国

2011年6月7日(火)〜6月12日(日)
9:00〜17:00 但し、6月10日(金)は20:00まで

広島県立美術館(082−221−6246)

広島と岩国を中心に活動をつづける二つのグループ『グループ立展』と『絵画のいろは展』 の合同作品展。
地域(環境)をこえた美術交流を通して、文化的な理解と協力を求めるだけでなく、日常生活におけ る芸術文化活動の意義を考え、双方のさらなる発展とともに作品制作における刺激と造詣を深めることが主なるねらいだ。
また、いわゆる“シロート”と“クロー ト”という二つの概念をクロスさせ、限界芸術の可能性をも視野に入れるきわめてユニークな美術展ともなるだろう。

一昨年あたりから準備をすすめてきたものだが、どんな形に発展していくのか大変楽しみである。

乞うご期待!!





『だれにもいえない』(岩瀬成子、毎日新聞社)

  • 2011.05.30 Monday
  • 10:59

『だれにもいえない』(岩瀬成子、毎日新聞社)


本日、発売!!!

岩瀬成子の新刊『だれにもいえない』(毎日新聞社)が本日発売されました。
昨年10月1日から31日までの間、毎日新聞大阪本社版に連載されたものに加筆し、このたび毎日新聞社から出版されました。

アマゾンで取り寄せることもできます。


前作『まつりちゃん』(理論社)も好評発売中で、このところ波にのっている感じ。コンスタントに出版されています。
2007年に出版された話題の長編小説『そのぬくもりはきえない』(偕成社)も、韓国につづいて中国でも翻訳出版されることが決まり話題も多い。
因みに、『金色の象』(偕成社)は既に韓国でも翻訳出版されています。


本著『だれにもいえない』(毎日新聞社)は、小さな女の子のラヴストーリー。

点くんをきらいになれたらな、と急に思った。
きらいになったら、わたしは元どおりのわたしにもどれる気がする。
だれにも隠しごとをしなくてもすむし、
びくびくしたり、どきどきしたりしなくてもすむ。(本文より)

4年生の女の子はデリケートだ。
せつなくて、あったかい、岩瀬成子の世界。
おとなも、子どもたちにもおすすめの一冊。どうぞ、お読みください。








アレンジ絵画

  • 2011.05.30 Monday
  • 10:32
児童のコースではアレンジ絵画を楽しんだ。
といっても、今日だけで仕上がるわけではない。
アンリ・ルソーの話をする。アンリ・ルソーの作品について話をする。
ジャングルに動物たちがいる。
横たわる人もいる。これを見ると大さわぎになる。
これをそのまま描くのじゃなくて、アレンジするのだ。
アレンジって分かるか〜。




以前にも、ルネ・マグリットのだまし絵をやったことがあるのだが、それが印象的だったのか「マグリットをやろう」などと3年生にもならない子がいってくるからおもしろい。
ちゃんと絵の話をすると興味をもってくれるからおもしろくなる。
さあ、ちゃんと仕上がるかなあ・・・








おもしろ粘土あそび

  • 2011.05.28 Saturday
  • 17:54
この間の美術保育では大騒ぎとなった。

毎年、この時季に取り組んでいる課題なのだが、今年はちょっとちがった。

粘土で合作、それも巨大ワニとタコの怪獣の闘いとなったからたいへんだ!




この巨大タコの怪獣は頭がくるくるとまわる。だから、撮影もこのとおり、ハイポーズ。



この巨大ワニ怪獣は口がこんなに。

牙もすごいぞ!舌もちゃんとあるぞ!火を噴き出すかもかもしれないぞ!




こんなにでかいぞ!これはワニのようでワニではない。

ワニ怪獣だ。だから、ツインテールとなっているし手足もいっぱい。




これはお家の猫。

ぼくはマイペース、ちゃんと一人でつくりました。










加藤重美陶展

  • 2011.05.28 Saturday
  • 16:56


岩国の山手町の画廊ドアにて、陶芸家の加藤重美さんの展覧会が開催されています。(今月31日まで)
洗練された作品は、これまでみたことがあるようで今回はじめてみる新作のようでもある。しかしながら、この作家と話していると陶芸作品というよりも“焼き物”という存在にあこがれているようにも思われる。つまり、生活の糧として培われてきた“営み”の産物とでも言えばいいのか、生活と地つづきの焼き物それ自体に美を求める思惑が強いことが伝わってくる。

だが、作品はその言葉に逆行するように、厳格さと緻密さ、表面に施された線描によるデザインが際立つようにこの作家の陶芸の本質をささえているようにもみえる。

是非是非、会場に行ってみてください。手ごろな値段の作品も多くそろえてありました。







『だれにもいえない』(岩瀬成子、毎日新聞社)

  • 2011.05.28 Saturday
  • 11:35

『だれにもいえない』(岩瀬成子、毎日新聞社)


5月30日(月)発売!!!

岩瀬成子の新刊『だれにもいえない』(毎日新聞社)が、近々発売されます。
昨年10月1日から31日までの間、毎日新聞大阪本社版に連載されたものに加筆し、このたび毎日新聞社から出版されます。

前作『まつりちゃん』(理論社)も好評発売中で、このところコンスタントに出版されています。
2007年に出版された話題の長編小説『そのぬくもりはきえない』(偕成社)は、韓国につづき中国でも翻訳出版されることが決まり話題も多い。
因みに、『金色の象』(偕成社)は既に韓国でも翻訳出版されています。


本著『だれにもいえない』(毎日新聞社)は、小さな女の子のラヴストーリー。

点くんをきらいになれたらな、と急に思った。
きらいになったら、わたしは元どおりのわたしにもどれる気がする。
だれにも隠しごとをしなくてもすむし、
びくびくしたり、どきどきしたりしなくてもすむ。(本文より)

4年生の女の子はデリケートだ。
せつなくて、あったかい、岩瀬成子の世界。
おとなも、子どもたちにもおすすめの一冊。
どうぞ、お読みください。









水俣病と福島原発

  • 2011.05.27 Friday
  • 23:46
数日前の朝日新聞に原田正純さんがインタヴューに応えるスタイルの記事が掲載されていた。“水俣の教訓が生かされなかった”とはどういう意味なのだろう。
福島第一原発事故から日を追うごとに、水俣で問われ続けたこの国の「病巣」が次々と浮かび上がってきたという。

水俣病の患者に寄り添って問題提起を半世紀にわたって続けてこられた原田さんは、今回の原発事故について「懲りてないねえ」といわれた。つまり、水俣病では政府・産業界・学者が安全性の考え方を誤った。危険が起きる前に危険を予測し、対策を立てられるはずだった。50年たってもその教訓は生かされなかったというわけだ。

大地震が起きたり大津波が来たりしたら原発は危ない、と予告した科学者はいた。だから科学が無能、無力ではなかった。ただ、その指摘を無視してきたということ。
水俣病でも行政や企業を批判する学者は避難された。初期には、学会の権威が有機水銀説を否定する珍説を次々に出して混乱した。専門家や学会の権威とは何なのだろう。ずいぶん問われたけれど、国の意を受けた学会がどんな役割を果たしたのか。同じことが今回の原発にも繰りかえされている、という。
原発には賛否両論あることを公平に出しておくべきで『原発危険論なんて少数派で過激な活動家』みたいなレッテルを貼られた時代が続いたがそれを議論する場を公平に保障するのが政府の役目だとしている。

本当に原発の専門家であるなら、今回の事態は予測できていたはずだとも。でも、『何が専門家なのか』あいまいで『専門家』(学者)のいうことだけをうのみにすると危ない。魚の専門家とは誰か。大学にもいるだろうが水俣の海で毎日魚を取って暮らす漁師も専門家です、と言いきった。
「水俣で、生まれてきた子が発症しているとわかった時、医学者はみんな、『母親の胎盤を毒物が通るなんてありえない』と考えた。でも、お母さんたちは「私から水銀が行ったに違いない』と一発で言い当てたという。胎児性水俣病の発見だった。母親は専門家といっていい。
それを『あなたは素人。俺たちは専門家だから正しいとやってきた。

「水俣学は従来の専門家の枠を一度外してしまおうという試み。水俣病は、社会的、経済的、政治的な側面があるきわめて複合的、総合的な事件であって、それを『病気だから』と医学者に丸投げしてしまったから解決できないままになった。」「一番大事なのは、地元の住民とか被害者、あるいは工場で働いていた労働者です。彼らの知恵とか経験を見直そう、採り入れようと言うのが水俣学、だといわれた。


ぼくには、原子力発電について専門家の立場でその危険性を指摘し、今回の原発事故について、発信し続けている京大原子炉実験所助教の小出裕章さんと原田正純さんのすがすがしい顔のイメージが重なってみえるところがある。ともにいい顔をされているのだ。

「NHKスペシャル」という番組があるけれど、それをみていて奥さんとともにいい仕事をされてきた原田さんの顔が印象的だった。ぼくはあのように生きていたい、とも率直に思った。小出さんの顔も御用学者などとはちがって、好きな研究をだれにも邪魔されることなく好きなように続けられた充足感に満ちていて美しい。しかし、両者とも学内では低い評価となっている。

番組で、原田さんの奥さんが笑顔で言っていた。「私たち、いつもお金はなかったわね」と。「出張するときもいつも手弁当」だったと。だからこそ、好きなようにできたのかもしれないけれど、小出さんもその程度(お金)のことで、今まで一度も命令されたこともなかったし、科学者として好きな研究ができた、といわれていた。

周防大島町でその小出裕章さんが講演されるらしい。是非とも伺いたいのだが、あいにく予定が決まっていた。
確か、14時からだったと思いますので、興味ある方々どうぞ行ってみてください。






今(5月30日)、気がつきましたが小出先生のご講演は来月(6月28日)でした。
早とちりですみません。まだ一ヶ月も先ですのでみんなで行きましょう。


絵画のいろは展・DVD

  • 2011.05.27 Friday
  • 22:24


絵画のいろは展のDVDができました。
ギャラリートークやレセプション、公開制作などの様子もコンパクトにおさめています。
10分程度のものですが、近々お渡ししますのでお楽しみに!



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新しい緑

  • 2011.05.25 Wednesday
  • 16:41


新緑がまぶしいほどに美しい。
昨日は霞がかかっていたが今日の空気はきれい。
透き通っている感じ。



錦帯橋も美しい橋だが、ぼくは錦川の流れとこの燃え立つような若葉の美しい城山の自然林が好きだ。
おそらくは宮島の弥山の原生林もきれいだろうなと想像している。




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絵画のいろは展第5報

  • 2011.05.24 Tuesday
  • 15:46

神垣正枝の作品

一見、人目をひくところがあるけれど、よくみるとコンセプトが曖昧であるし力強さが感じられない。
つまり、絵画を二次元的なイリュージョンと規定するならこの組み合わせは考えられないということ。絵画を身近なところで楽しんできた人であるが、絵画をやるなら徹底的に突き詰めて欲しいところだ。換言すれば、思いつきではなく必然的な思考のベクトルが求められるということ。
いささか厳しく言わせていただくなら、そのことは作品の総体として思想性が問われる、ということでもある。少し、整理して考えてみると方向性がはっきりしてくるのではないか・・・



野原都の作品

野原の作品にも同様のことが確認できる。キャリアはながく山口県美展等々の常連でもあるけれど、思想の脆弱さと表現の力強さがかつての作品と比較してかなり後退しているのではないかといえる。
更なる実践と経験の厚みで突破して欲しいと願っている。


玉井康子

これらの作品をみて思うのは、衒うことなく素直に絵画制作に取り組んでいることがよく分かり、たいへん好感が持てるということ。
欲を言えば、もっと貪欲に制作に打ち込んで欲しいところか。自作を語るトークもこの作品と同じく、その気持ちが伝わってきておもしろかった。


絵画のいろは展は連日100人程度の観衆を集め盛会のうちにその幕を閉じた。会期中、東日本大震災の義援金募集も多くの人々の協力を得ることができた。
翌日、岩国市役所を訪ね日本赤十字社山口県支部へ全額寄付することができた。ご協力いただいいたみなさん、ありがとうございました。



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原田美術教室の活動


♛ 第16回絵画のいろは展
2023年11月15日wed〜11月19日sun
10:00〜18:00
シンフォニア岩国企画展示ホール


この展覧会は、絵を描きはじめて間もない人から山口県美展・岩国市美展など他の美術コンクールや個展などで活躍している大人に加えて、これまでTRY展として活動してきた子どもたちを含む初心者から経験者までの作品を一堂に展示する原田美術教室の研究生およそ20名で構成するものです。 アトリエや教室での日ごろの研究成果を発表すると同時に、人と人、表現と表現のふれあうなかで単に技術の習得のみならず、絵を描くことで何を考え、何を発見することができるかということから、「文化的な営みと豊かさ」あるいは「活力と潤いのある生活」とは何か、という問いについて考える契機となることを願っています。 「絵画のいろは」とは、このように制作上の技術の問題だけでなく、日常生活での活力や潤いのある生活のあり方を考える実践的問いかけに他ならないのです。 特に今回は子どもたちの作品を含めて広く深くそのことを考える風通しのいい構成となっています。研究生として親睦を兼ねたコミュニケーションを大切にし、互いの作品を認める楽しさや表現の多様性について考え、アートのおもしろさを伝えることで地域の芸術文化活動の普及と発展に寄与したいと願うものです。














子どもの作品が大人気








♛ グループ小品展2024
2024年10月3日(水)〜10月6日(日)
10:00−18:00
シンフォニア岩国企画展示ホール



この展覧会グループ小品展は、絵を描きはじめて間もない初心者から山口県美展・岩国市美展など他の美術コンクールや個展などで活躍している経験者までを含む原田美術教室の研究生で構成され、絵画のいろは展とともに隔年で開催するものです。 今回のグループ小品展では、日ごろの研究成果を発表すると同時に、人と人、表現と表現のふれあうなかで単に技術の習得のみならず、絵を描くことで何を考え、何を発見することができるかということ。そして、「文化的な営みと豊かさ」あるいは「活力と潤いのある生活」とは何か、という問いについて考えることを目的としています。 また、グループ研究生として互いの親睦を兼ねたコミュニケーションを大切にし、互いの作品を認める楽しさを発見すると同時に表現の多様性について考え、アートの楽しさを伝えることで地域の芸術文化活動の普及と発展に寄与し貢献したいと願うものです。









 

♛ 山口県美術展覧会2019 2019年2月14日(木)−3月3日(日)9:00−17:00(入館は16:30まで) 
休館日:2月18日(月)、25日(月)
観覧料/一般:500(400)円 学生:400(300)円( )内は20人以上の団体料金
*18歳以下は無料 *70才以上の方、中東教育学校、高等学校、特別支援学校に在学する方等は無料 *障碍者手帳等をご持参の方とその介護の方1名は無料
山口県立美術館

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優秀賞 藤本スミ

入選 玉井康子

入選 中村みどり



佳作賞 浜桐陽子

原田文明の現況2021展


2021年5月19日wed−5月23日sun
10:00−18:00
シンフォニア岩国企画展示ホール



本展は1990年代のはじめ頃から具体絵画として精力的に発表してきた一連の絵画作品とドローイングとインスタレーションによる新作13点で構成するのものです。













原田文明展 ドローイングインスタレーション2018


2018年11月21日wed−25日sun 10:00−18:00
シンフォニア岩国企画展示ホール











ドローイングインスタレーションは、ここ十数年にわたって絵画表現の可能性について考えてきた一連の営為の中で、偶然とも必然ともいえる結果として発見されたものです。
私はこれまで「具体絵画」と称して、物質(素材)が表現目的の手段として扱われるのではなく、物質のあり方それ自体を色彩やフォルムと等しく絵画の重要な構成要素とする一連の作品を制作してきました。
ここでは行為と物質がもたらす一回性の出来事さえも絵画を成立させる重要な要素として捉え、作為的な感性によって空間へと展開されています。いうまでもなく、そのことによって生成される新しい意味と存在の可能性をリアルな知覚的世界として位置づけ、形而上学的な意味を問いかける主知的な営為と考えてきたのです。
さらに、その表現形式のあり方は平面的な二次元の世界から室内空間(場所)を構成する三次元的な世界へとその機能性を拡張し、ドローイングインスタレーションともいうべき様式へと変容させ意識化されてきたとも云えます。
私にとってもはや絵画は多元的な空間へと自在に移ろうイリュージョンの世界へと変容してきたと云うべきかもしれません。それは身体性を意識したメタフィジカルな実践として存在論的に見えかくれする場面への接近であり、換言すれば世界を包み込む現存(リアルな世界)への希求の現われというべきかも知れないのです。
本展はこれまでの多岐にわたる活動をふまえてたどりついた新作ドローイングインスタレーションの様式にさらに色彩的要素を取り入れることによって新境地への挑戦と可能性を探求する原田文明の現況とその一端を示すものです。

里の芸術一揆「里山 ART Project 吉賀」




本プロジェクトは隔年式のアートビエンナーレとして、将来の「地域」「文化」「くらし」を考える文化的なムーブメント(運動)をつくることを目的とするものです。また、地域の農耕文化や伝統に学び、芸術文化の振興発展と普及のみならず、「生活と芸術」「過去と現在」「人と地域」の交流を軸とする文化による地域づくりについて考えるものです。 このことは、吉賀町がこれまで取り組んできた自然との共存共生を願うエコビレッジ構想と合わせて、人間の営みとしての文化と里山の自然について考えることであり、里山に潜在する魅力とその可能性を再確認し文化意識の変革と活性化を推進するものです。 今回は、現代アートの最前線で活躍する8名のアーティストによる最新作を現地で制作し、地域住民とともにワークショップや生活文化など多方面での活発な交流が実現されるものと考えています。 2010年10月開催予定。

岩瀬成子話題の本棚


ジャングルジム(2022年ゴブリン書房)


ひみつの犬(2022年岩崎書店)
「いい人間になるのって難しいよ」とお姉ちゃんは言った。(p238)
児童文学として哲学的な問いをふくむシリアスな問題を子ども特有の感覚と生き生きとした表現で描いた長編物語。


わたしのあのこあのこのわたし(2021年 PHP研究所)

すれちがいながらも 助け合う ふたりの物語

秋ちゃんはすごく怒っていた。「とりかえしがつかない」と秋ちゃんはいった。
「二度と手に入らない」ともいった。どの言葉もわたしに命中した。
きいている途中から心臓がどきどきしはじめた。
わたしは秋ちゃんの怒った顔だけを見ていた。
秋ちゃんの怒りがどんどんふくらんでいくのがわかった。
秋ちゃんはわたしをゆるしてくれないかもしれない。


ネムノキをきらないで(2020年 文研出版)
この物語はおじいさんの家の庭にあるネムノキをきる話からはじまる。ぼくはネムノキをきることに反対だが枝がのびすぎてあぶなくなったから樹木医さんに相談して剪定してもらうことになった、ということだ。
「だめ、だめ。」と、ぼくは泣きながらいった。「こまったなあ。」とおじいさんはいった。お母さんはぼくの頭をなでようとした。ぼくはその手をふりはらった。「ばかだ。おとなはみんな大ばかだ。」ぼくにはもっといいたいことがあった。ネムノキについて。でも、どういえばいいかわからなかった。(…略)胸のなかは嵐のようだった。いろいろな気もちがぶつかり合っていて、どうすればもとのような落ち着いた気もちになれるのかわからなかった。(本文よりp16〜17)
家に帰った伸夫はつぎの朝、自分の部屋をでるとき何も知らずに柱をとおりかかったイエグモをつぶしてしまったことに気づく。


おとうさんのかお(2020年 佼成出版)

岩瀬成子の最新作「おとうさんのかお」が佼成出版社から出版されました。

「遠くを見ろっていったんだよね。おとうさん」と、わたしはいいました。「え」と、おとうさんはわたしをみました。「わたし、思いだした。このまえ、大川で思いだしかけていたこと。じてん車のれんしゅうをしていたときのこと。おとうさんは、『目の前ばっかり見てちゃだめ。もっと先のほうを見なきゃ』っていったよ」「そうだったかな」「『先のほうだけでもだめ、ときどき、ずっと遠くを見るんだ。ずっとずっと遠くだよ。山のむこう遠く』っていったよ」(本文よりp87)


もうひとつの曲り角(2019年 講談社)
野間児童文芸賞、小学館文学賞、産経児童出版文化賞大賞、IBBYオナーリスト賞など数々の賞を受賞する岩瀬成子氏の最新長編作品。

柵には半開きになった木の扉がついていて、その扉に「どうぞお入りください」と青色のマジックで書かれた板がぶらさがっていた。 「いやだ。あたしはそんなところへは、ぜったいに入らないから」ときこえた。 えっ。どきんとした。 庭木のむこうからだった。わたしにむかっていったんだろうか。 わたしは耳をすまして、木々にさえぎられて見えない庭のようすをうかがった。 しんとしていた。 だれがいるんだろう。 わたしはぶらさがっている板をもう一度見た。 それから足音を立てないようにして、そっと扉のあいだから庭に入っていった。しかられたら、すぐににげだすつもりだった。ちょっとだけ、のぞいてみたかった。──本文より。 小学五年のわたしと中一の兄は二ヶ月前、母の理想の新しい家、市の東側から西側へ引っ越してきた。この町で通い出した英会話スクールが休講だったので、わたしはふと通ったことのない道へ行ってみたくなる。道のずっと先には道路にまで木の枝が伸びている家があり、白い花がちらほらと咲いて・・・・。

日本絵本賞、講談社出版文化賞、ブラチスラバ世界絵本原画展金牌、オランダ銀の石筆賞など受賞の酒井駒子氏による美しい装画にも注目!

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地図を広げて(2018年 偕成社)
父親と2人暮らしの鈴のもとに、母親が倒れたという知らせがとどく。母はそのまま亡くなってしまい、母親のもとにいた弟の圭が、鈴たちといっしょに暮らすことになった。 たがいに離れていた時間のこと、それぞれがもつ母親との思い出。さまざまな思いをかかえて揺れ動く子どもたちの感情をこまやかにとらえ、たがいを思いやりながら、手探りでつくる新しい家族の日々をていねいに描いた感動作。


ともだちのときちゃん(2017年 フレーベル館)
フレーベル館【おはなしのまどシリーズ】として出版された岩瀬成子の新刊『ともだちのときちゃん』は、イメージの広がりとこの年頃の子どもが経験する瑞々しい出会いにあふれています。(略)著者はそういう細部をみつめる子どもの感情をとてもよく描いていて、このお話しの最後のところでたくさんのコスモスの花にかこまれて青い空と雲をみつながら「ぜんぶ、ぜんぶ、きれいだねえ」とふたりの気持ちをつたえています。

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ちょっとおんぶ(2017年 講談社)
6才のこども特有のイノセントな感覚世界。この年ごろの人間だけが経験できる世界認識のあり方が本当にあるのかもしれない。あっていいとも思うし、ぼくはそれを信じていいようにも思います。名作「もりのなか」(マリー・ホール・エッツ)が普遍的に愛読されるのもこの点で納得できる気がするのです。
この本の帯にあるように、絵本を卒業する必要はないけれど絵本を卒業したお子さんのひとり読みや、読みきかせにぴったり!といえるかもしれません。どうぞ、手にとって読んでみてくださいね。

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マルの背中(2016年 講談社)
父と弟の理央が暮らす家を出て母と二人で生活する亜澄は、駄菓子屋のおじさんから近所で評判の“幸運の猫”を預かることに。野間児童文芸賞、小学館文学賞、産経児童出版文化大賞受賞作家による感動作!

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ぼくが弟にしたこと(2015年 理論社)
成長の予兆を感じさせるように父と再会した麻里生には、次第に人混みにまぎれていく父の姿は特別な人には見えなかった。著者は帯にこう書き記している。どの家庭にも事情というものがあって、その中で子どもは生きるしかありません。それが辛くて誰にも言えない事だとしても、言葉にすることで、なんとかそれを超えるきっかけになるのでは、と思います。

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きみは知らないほうがいい(2014年 文研出版)
2015年度産経児童出版文化大賞受賞。
クニさんの失踪、クラスメートの関係性が微妙に変化するいくつかのエピソード、昼間くんの手紙、錯綜するその渦の中で二人の心の変化と移ろいを軸に物語は複雑な展開をみせる。
最終章、米利の手紙にはこう書いてある。それはぐるぐると自然に起きる渦巻のようなものだった。「いじめ」という言葉でいいあらわせない出来事があちこちで渦巻いている学校。
それでも明るい光に照らされている学校。そして苦い汁でぬるぬるとしている学校。学校よ、と思う。そんなに偉いのか。そんなに強いのか。そんなに正しいのか。わたしは手でポケットの上をぽんぽんとたたいた。

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あたらしい子がきて(2014年 岩崎書店)
前作『なみだひっこんでろ』の続編のようでもあり、“みき”と“るい”姉妹のお話となっているけれど、ストーリーそのものはそれとはちがうまったく新しいものである。 ここでは、お母さんのお母さんとその姉、つまり“おばあちゃん”と“おおばあちゃん”という姉妹がいて、知的障害のある57歳の“よしえちゃん”とその弟の“あきちゃん”の姉弟が登場する。 このように“みき”と“るい”姉妹の周りにもそれぞれの兄弟が重層的に描かれている。
第52回野間児童文芸賞、JBBY賞、IBBYオナーリスト賞を受賞。

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くもりときどき晴レル(2014年 理論社)
ひとを好きになるとどうして普通の気持ちじゃなくなるのだろう。誰でもこのような不思議な感情に戸惑いを感じることがある。恋愛感情とも云えないやりきれない気持ちの動きと戸惑いをともなう心理状態のことだ。 本著は、「アスパラ」「恋じゃなくても」「こんちゃん」「マスキングテープ」「背中」「梅の道」という6つの物語で構成された短編集であるけれど、思春期を向かえる少し前になるそれぞれの子どもの現在としてそのやわらかい気持ちの揺れを瑞々しいタッチで描いたもの。

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なみだひっこんでろ(2012年 岩崎書店)
今年度第59回課題図書に決定!

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ピース・ヴィレッジ(2011年 偕成社)


大人になっていく少女たちをみずみずしく描く
「最後の場面のあまりのうつくしさに言葉をうしなった。私たちは覚えている、子どもからゆっくりと大人になっていく、あのちっともうつくしくない、でも忘れがたい、金色の時間のことを。」 角田光代
基地の町にすむ小学6年生の楓と中学1年生の紀理。自分をとりまく世界に一歩ずつふみだしていく少女たちをみずみずしく描いた児童文学。
偕成社から好評新刊発売中!

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だれにもいえない(岩瀬成子著・網中いづる画、毎日新聞社)


小さな女の子のラヴストーリー。
点くんをきらいになれたらな、と急に思った。 きらいになったら、わたしは元どおりのわたしにもどれる気がする。 だれにも隠しごとをしなくてもすむし、 びくびくしたり、どきどきしたりしなくてもすむ。(本文より)
4年生の女の子はデリケートだ。 せつなくて、あったかい、岩瀬成子の世界。 おとなも、子どもたちにもおすすめの一冊。

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まつりちゃん(岩瀬成子著、理論社)
この作品は連作短編集という形式で構成され、抑制の効いた淡々とした表現で描かれているところが新鮮である。各篇ごとにちがった状況が設定され登場人物(老人から子ども)たちはそれぞれ不安、孤独、ストレスといった現代的な悩みを抱えている。その中で全篇を通して登場する“まつりちゃん”という小さな女の子は、天使のように無垢なる存在として現れる。その女の子と関わることによって物語は不思議なこと癒しの地平へと開示され、文学的世界が立ち上がるかのようだ。 岩瀬成子の新しい文学的境地を感じさせる魅力的な一冊ともいえる。

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オール・マイ・ラヴィング(岩瀬成子著、集英社)

■ 1966年、ビートルズが日本にやって来た!14歳の少女が住む町にビートルズファンは一人だけだった。 ■ 「オール マイ ラヴィング」とビートルズは歌う。聴いていると、だんだんわたしは内側からわたしではなくなっていく。外側にくっついているいろいろなものを振り落として、わたしは半分わたしではなくなる。ビートルズに染まったわたしとなる。 ■ 岩瀬成子の新刊、1月31日集英社から好評発売中。“あの時代”を等身大の少女の目でみつめた感動の書き下ろし長編小説 『オール・マイ・ラヴィング』 ■ ビートルズ ファン必見の文学はこれだ!

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そのぬくもりはきえない(岩瀬成子著、偕成社)
■ 日本児童文学者協会賞受賞


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朝はだんだん見えてくる(岩瀬成子著、理論社) ■ 1977年、岩瀬成子のデビュー作。本書はそのリニューアル版で理論社の『名作の森』シリーズとして再発行されたもの。

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