お好み焼き

  • 2009.08.31 Monday
  • 13:43
最近はメタボ気味とあって夫婦で断酒を決断したばかりなのだが、どうもカミさんの意志が弱い。けっして人のせいにするつもりはないけれど、堺正章の「チューボーですよ」という番組で『お好み焼き』をやっているのを見ると急に食べたくなった。以前、六日市で食べた「一休」という店の関西風お好み焼きを思い出した。
そこで、明日は選挙速報を見ながらお好みで一杯、とすぐに意見は一致。




というわけで、昨夜は「お好み焼き」でビールを飲みながら深夜遅くまで選挙の速報を見ていた。とは言っても、わが家は広島の電波が強いのか山口関係の放送局がはいらないので、われわれの選挙区山口2区のようすがいっこうに分からない。このため、近所のFさんなどは、どうやらケーブルテレビのアイキャンにしたらしい。
結局、インターネットで確認することになってしまった。
結果は、自公の惨敗で民主のひとり勝ちとなった。次々と自公の幹部が落選していくのをみながら美味しいビールを飲んでいた。

いよいよこの国の政権が移行することになった。しかしながら、民主の政権運営は一筋縄にはいかないだろう。「それでも期待するほかない」というのが選挙の結果ではなかったか。
この選挙は、はじめから何を言っても自公に勝ち目はなかった。民主の政策を裏付ける財源などという問題ではなかった。自公の主張は呆けていた。政権与党ボケというほかなかった。
それというのも、これだけの経済大国でありながら「生活できない、生活保障が期待できない」という問題に直面しているにもかかわらず、財源などと言っていることを可笑しいと気つかない感覚自体がヘンだった。


だから、すでに10年前に終止符を打たなければいけなかったのだが、あのとき有権者の選択は郵政民営化を本丸とする小泉・竹中改革路線だった。この10年間で失ったものがいかに大きいか私たちはこれからいやというほど知ることになるだろう。
この4年間で総理総裁が3人ももたなかったにもかかわらず、任期満了に近いこの時期に解散して勝てる道理がどこにあると思ったのだろうか、と自公支持者に聞いてみたいのだが・・・・・


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わたし ねこ

  • 2009.08.31 Monday
  • 11:04
わたし ねこ
(岩瀬成子・作、
佐野洋子・絵理論社)


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四・五歳の子どもの
  よろこんで 聞くおはなし
六・七歳の子どもの
  目をかがやかせて 読むおはなし
もっと大きなひとたちの
  愛蔵版 ― どうわの森のおくりもの



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アルマジロのしっぽ

  • 2009.08.30 Sunday
  • 11:44
アルマジロのしっぽ
(岩瀬成子・作 渡辺洋二・絵、あかね書房)


ねぇ、いつか、なにかみつかるのかなぁ


ひらかれた世界にむかって自分の輪郭を手探りでさがす子どもたちを描く
リアルな少女小説


画像をクリックしてください

 夕方の、赤くまだらに染まった雲が、空にうすくひろがっていた。なんとなく心細い気がした。だれかと永遠に別れてしまったときには、こんな気持になるのかもしれない。泣きたい気もちともちがい。ふわふわと自分がどこかへ飛んでいきそうな気がする。自分が人間じゃなくて、草かなにかになったような、そんな淋しい気もちだった。
 雲の切れめから、金色の光がすうっとのびていた。    (本文より)

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久米瑞枝さんの個展に寄せて

  • 2009.08.30 Sunday
  • 11:43


三倉岳(春)


久米瑞枝さんの個展に寄せて(2005.4.14thu−4.19tue)

 

 単純化されたラナンキュラスやアジサイの花。力強い色彩、ペインティングナイフと筆のタッチによる特有のマチエール。

 久米瑞枝さんの作品は、一見してブラマンクや日本の佐伯祐三、三岸節子、林武らのフォーヴィズム(野獣派)を思わせるところがある。いかにも油絵といった感じさえする。どういうわけか、最近ではこのような作品は岩国ではあまりみられなくなった。だからといって、これらの作品が既に時代遅れで終わったものとして簡単に片付けられるものではない。

 私は表層的な形式の問題はともかく、当時のフォーヴィストたちによる挑戦する精神、面白いことを発見しようとする強い意思を学んで欲しいと思っている。

 20世紀の巨匠、ピカソも今となっては既に古典といえるかも知れない。だが、彼の自由な精神、人間そのものに対する比類のない関心は、その卓越した技術以上に現代においてもなおビビッドに輝きつづけている。

 

 久米さんはたいへん知的で好奇心が旺盛なところがあって、美術のほかにも音楽や映画を鑑賞され本もよく読まれるけれども、なかなか慎重派でもある。

本展をみても、本当に絵画を楽しんで描いている様子が良くわかる。これからどのような展開を見せてくれるのか、私はたいへん楽しみにしている。

 いつか、アトリエの書棚にあるハイデッガーの著作(翻訳)を見て、久米さんも学生時代に関心をもって読まれたと聞いたことがあった。ハイデッガーの定義によれば、芸術とは自己の存在を確認するための破壊的作業の連続だとしている。

 おもしろい話だ。


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アトリエの馬

  • 2009.08.29 Saturday
  • 10:44
アトリエの馬
(岩瀬成子・作 宇野亜喜良・絵、学校図書)

「これ?馬よ。まだわからないの」
そう言われてはじめて気がついた。それはたしかに馬の
形をしていた。金属パイプでできていて、本物より少し小
さめだったが、頭の形といい、足の形といい、馬といわれ
ればたしかに馬だった。



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第四コーナーから

  • 2009.08.28 Friday
  • 16:34
総選挙も第四コーナーを過ぎて直線に差し掛かってきた。マスコミ各社が民主党の圧勝を報じた。「麻生を隠せ!」とまでに慌てふためく自民党候補者。自民党にとってみれば、きわめてショッキングな予想となっている。

岩国でも現職の市長がなりふり構わず、自民党候補者の応援をしている。それも平日の午後の出来事だ。「あれは公務中の応援じゃないのか」ちょっと気になったが、特別職ともなれば公務とは言えないらしい。
「そりゃ変だぞ、限りなく曖昧だ!」納得できないから選挙管理委員会につないでもらうが「公職選挙法には抵触しない」との返答だった。

最近になって怪文書まがいのビラが堂々と自民党と記載されて届く。今朝もきていた。民主=日教組などと。
これはもう、末期的な症状というほかないのではないか。政権が移行するのは火を見るよりも明らかだ。

となれば、あからさまに現職市長が下野する自民を一方的に応援するのもいかがなものかと市民は心配になる。
国と地方では立場が違うとしても・・・・・

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猫の詰め合わせ

  • 2009.08.28 Friday
  • 10:37

キンとプー

猫の詰め合わせ、いかがですか・・・?
お中元には間に合わなかったけれど。



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シズコさん

  • 2009.08.28 Friday
  • 10:36
シズコさん
(佐野洋子・著、新潮社)



作家で画家の佐野洋子さんが自分の母(シズコさん)との日々をつづったエッセー。
おそらく、母娘関係の難しさ、切なさ、厳しさ、辛さがにじみ出た渾身の一冊ではないかと思う。
谷川さんのエピソードも少しあった。
佐野さんといえば、
岩瀬成子の最初の童話絵本『わたし ねこ』(理論社)の絵を描いておられる。あの独特の猫の絵は太くておもしろかった。この本のお母さんのようだった。お母さんを連想したのだろうか?まさか・・・
NHKのブックレビューという番組でも紹介されていたけれど、たいへんおもしろく拝読しました。





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LIFE・井上陽水

  • 2009.08.27 Thursday
  • 17:50
最近、4夜連続で井上陽水の特集番組がNHK教育テレビで放送されている。昨日で3回目が終了した。

第1夜は、筑豊の炭鉱都市、田川の歯医者の息子として生まれ育ち、はじめは歯医者を志すが大学受験に失敗し歌手を志す。
デビュー当時のようすやヒット曲「心もよう」「傘がない」「氷の世界」で不動の地位を築くまでが紹介された。「連帯を求めて孤立を恐れず!」として活動する同時代の若者たちの中で、徹底した個人の感覚世界を突きつけ圧倒的に支持される。

第2夜は、大きな影響を受けたジョンレノンのこと。また30代を阿佐田哲也、五木寛之、筑紫哲也など作家やジャーナリストたちと交流し、影響を受けながら仕事の幅を広げていくようすがヒット曲とかさねて紹介された。忌野清志郎とのコラボレーション「還れない二人」を歌う二人のステージがおもしろかった。二人とも日本を代表するアーティストであるが微妙な違いが興味深く感じられた。陽水の艶のある声、様々な事象を読みとる感覚が素晴らしい。一方、忌野清志郎の哀切のある声と幅のある音楽、また観衆とのやり取りがおもしろく紹介された。

昨夜は、同郷の後輩で作家のリリーフランキーとの対話を中心に陽水の人となりが紹介されておもしろかった。

さて、最終回の今日はどんな番組になるのだろう。YouTubeでもよく聞くのだが、井上陽水の時代を感じとるセンスは抜群だと思う。
今日も楽しみだ!
 

フラッグ

  • 2009.08.27 Thursday
  • 11:19


bummei HARADA
フラッグ/2002/日の丸、ガラス/画廊a


麻生太郎首相は8月20日午前、鹿児島県霧島市で街頭演説し、同市内で開かれた民主党候補の集会で日の丸の旗2枚が切り張りされた民主党旗が掲げられたことに言及、「ふざけた話だ。日の丸(を敬うこと)ですらきっちりできない」と改めて批判した。 
民主党の党旗は、日も丸をアレンジしたものだとばかり思い込んでいた。機知に富んでいておもしろいと思っていたのだが・・・
この作品『フラッグ』は、2002年の中国国内にある日本領事館に命がけで助けを求めて来た脱北者を領事館職員が拒んだ事件をきっかけとして制作したものである。

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原田美術教室の活動


♛ 第16回絵画のいろは展
2023年11月15日wed〜11月19日sun
10:00〜18:00
シンフォニア岩国企画展示ホール


この展覧会は、絵を描きはじめて間もない人から山口県美展・岩国市美展など他の美術コンクールや個展などで活躍している大人に加えて、これまでTRY展として活動してきた子どもたちを含む初心者から経験者までの作品を一堂に展示する原田美術教室の研究生およそ20名で構成するものです。 アトリエや教室での日ごろの研究成果を発表すると同時に、人と人、表現と表現のふれあうなかで単に技術の習得のみならず、絵を描くことで何を考え、何を発見することができるかということから、「文化的な営みと豊かさ」あるいは「活力と潤いのある生活」とは何か、という問いについて考える契機となることを願っています。 「絵画のいろは」とは、このように制作上の技術の問題だけでなく、日常生活での活力や潤いのある生活のあり方を考える実践的問いかけに他ならないのです。 特に今回は子どもたちの作品を含めて広く深くそのことを考える風通しのいい構成となっています。研究生として親睦を兼ねたコミュニケーションを大切にし、互いの作品を認める楽しさや表現の多様性について考え、アートのおもしろさを伝えることで地域の芸術文化活動の普及と発展に寄与したいと願うものです。














子どもの作品が大人気








♛ グループ小品展2024
2024年10月3日(水)〜10月6日(日)
10:00−18:00
シンフォニア岩国企画展示ホール



この展覧会グループ小品展は、絵を描きはじめて間もない初心者から山口県美展・岩国市美展など他の美術コンクールや個展などで活躍している経験者までを含む原田美術教室の研究生で構成され、絵画のいろは展とともに隔年で開催するものです。 今回のグループ小品展では、日ごろの研究成果を発表すると同時に、人と人、表現と表現のふれあうなかで単に技術の習得のみならず、絵を描くことで何を考え、何を発見することができるかということ。そして、「文化的な営みと豊かさ」あるいは「活力と潤いのある生活」とは何か、という問いについて考えることを目的としています。 また、グループ研究生として互いの親睦を兼ねたコミュニケーションを大切にし、互いの作品を認める楽しさを発見すると同時に表現の多様性について考え、アートの楽しさを伝えることで地域の芸術文化活動の普及と発展に寄与し貢献したいと願うものです。









 

♛ 山口県美術展覧会2019 2019年2月14日(木)−3月3日(日)9:00−17:00(入館は16:30まで) 
休館日:2月18日(月)、25日(月)
観覧料/一般:500(400)円 学生:400(300)円( )内は20人以上の団体料金
*18歳以下は無料 *70才以上の方、中東教育学校、高等学校、特別支援学校に在学する方等は無料 *障碍者手帳等をご持参の方とその介護の方1名は無料
山口県立美術館

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優秀賞 藤本スミ

入選 玉井康子

入選 中村みどり



佳作賞 浜桐陽子

原田文明の現況2021展


2021年5月19日wed−5月23日sun
10:00−18:00
シンフォニア岩国企画展示ホール



本展は1990年代のはじめ頃から具体絵画として精力的に発表してきた一連の絵画作品とドローイングとインスタレーションによる新作13点で構成するのものです。













原田文明展 ドローイングインスタレーション2018


2018年11月21日wed−25日sun 10:00−18:00
シンフォニア岩国企画展示ホール











ドローイングインスタレーションは、ここ十数年にわたって絵画表現の可能性について考えてきた一連の営為の中で、偶然とも必然ともいえる結果として発見されたものです。
私はこれまで「具体絵画」と称して、物質(素材)が表現目的の手段として扱われるのではなく、物質のあり方それ自体を色彩やフォルムと等しく絵画の重要な構成要素とする一連の作品を制作してきました。
ここでは行為と物質がもたらす一回性の出来事さえも絵画を成立させる重要な要素として捉え、作為的な感性によって空間へと展開されています。いうまでもなく、そのことによって生成される新しい意味と存在の可能性をリアルな知覚的世界として位置づけ、形而上学的な意味を問いかける主知的な営為と考えてきたのです。
さらに、その表現形式のあり方は平面的な二次元の世界から室内空間(場所)を構成する三次元的な世界へとその機能性を拡張し、ドローイングインスタレーションともいうべき様式へと変容させ意識化されてきたとも云えます。
私にとってもはや絵画は多元的な空間へと自在に移ろうイリュージョンの世界へと変容してきたと云うべきかもしれません。それは身体性を意識したメタフィジカルな実践として存在論的に見えかくれする場面への接近であり、換言すれば世界を包み込む現存(リアルな世界)への希求の現われというべきかも知れないのです。
本展はこれまでの多岐にわたる活動をふまえてたどりついた新作ドローイングインスタレーションの様式にさらに色彩的要素を取り入れることによって新境地への挑戦と可能性を探求する原田文明の現況とその一端を示すものです。

里の芸術一揆「里山 ART Project 吉賀」




本プロジェクトは隔年式のアートビエンナーレとして、将来の「地域」「文化」「くらし」を考える文化的なムーブメント(運動)をつくることを目的とするものです。また、地域の農耕文化や伝統に学び、芸術文化の振興発展と普及のみならず、「生活と芸術」「過去と現在」「人と地域」の交流を軸とする文化による地域づくりについて考えるものです。 このことは、吉賀町がこれまで取り組んできた自然との共存共生を願うエコビレッジ構想と合わせて、人間の営みとしての文化と里山の自然について考えることであり、里山に潜在する魅力とその可能性を再確認し文化意識の変革と活性化を推進するものです。 今回は、現代アートの最前線で活躍する8名のアーティストによる最新作を現地で制作し、地域住民とともにワークショップや生活文化など多方面での活発な交流が実現されるものと考えています。 2010年10月開催予定。

岩瀬成子話題の本棚


ジャングルジム(2022年ゴブリン書房)


ひみつの犬(2022年岩崎書店)
「いい人間になるのって難しいよ」とお姉ちゃんは言った。(p238)
児童文学として哲学的な問いをふくむシリアスな問題を子ども特有の感覚と生き生きとした表現で描いた長編物語。


わたしのあのこあのこのわたし(2021年 PHP研究所)

すれちがいながらも 助け合う ふたりの物語

秋ちゃんはすごく怒っていた。「とりかえしがつかない」と秋ちゃんはいった。
「二度と手に入らない」ともいった。どの言葉もわたしに命中した。
きいている途中から心臓がどきどきしはじめた。
わたしは秋ちゃんの怒った顔だけを見ていた。
秋ちゃんの怒りがどんどんふくらんでいくのがわかった。
秋ちゃんはわたしをゆるしてくれないかもしれない。


ネムノキをきらないで(2020年 文研出版)
この物語はおじいさんの家の庭にあるネムノキをきる話からはじまる。ぼくはネムノキをきることに反対だが枝がのびすぎてあぶなくなったから樹木医さんに相談して剪定してもらうことになった、ということだ。
「だめ、だめ。」と、ぼくは泣きながらいった。「こまったなあ。」とおじいさんはいった。お母さんはぼくの頭をなでようとした。ぼくはその手をふりはらった。「ばかだ。おとなはみんな大ばかだ。」ぼくにはもっといいたいことがあった。ネムノキについて。でも、どういえばいいかわからなかった。(…略)胸のなかは嵐のようだった。いろいろな気もちがぶつかり合っていて、どうすればもとのような落ち着いた気もちになれるのかわからなかった。(本文よりp16〜17)
家に帰った伸夫はつぎの朝、自分の部屋をでるとき何も知らずに柱をとおりかかったイエグモをつぶしてしまったことに気づく。


おとうさんのかお(2020年 佼成出版)

岩瀬成子の最新作「おとうさんのかお」が佼成出版社から出版されました。

「遠くを見ろっていったんだよね。おとうさん」と、わたしはいいました。「え」と、おとうさんはわたしをみました。「わたし、思いだした。このまえ、大川で思いだしかけていたこと。じてん車のれんしゅうをしていたときのこと。おとうさんは、『目の前ばっかり見てちゃだめ。もっと先のほうを見なきゃ』っていったよ」「そうだったかな」「『先のほうだけでもだめ、ときどき、ずっと遠くを見るんだ。ずっとずっと遠くだよ。山のむこう遠く』っていったよ」(本文よりp87)


もうひとつの曲り角(2019年 講談社)
野間児童文芸賞、小学館文学賞、産経児童出版文化賞大賞、IBBYオナーリスト賞など数々の賞を受賞する岩瀬成子氏の最新長編作品。

柵には半開きになった木の扉がついていて、その扉に「どうぞお入りください」と青色のマジックで書かれた板がぶらさがっていた。 「いやだ。あたしはそんなところへは、ぜったいに入らないから」ときこえた。 えっ。どきんとした。 庭木のむこうからだった。わたしにむかっていったんだろうか。 わたしは耳をすまして、木々にさえぎられて見えない庭のようすをうかがった。 しんとしていた。 だれがいるんだろう。 わたしはぶらさがっている板をもう一度見た。 それから足音を立てないようにして、そっと扉のあいだから庭に入っていった。しかられたら、すぐににげだすつもりだった。ちょっとだけ、のぞいてみたかった。──本文より。 小学五年のわたしと中一の兄は二ヶ月前、母の理想の新しい家、市の東側から西側へ引っ越してきた。この町で通い出した英会話スクールが休講だったので、わたしはふと通ったことのない道へ行ってみたくなる。道のずっと先には道路にまで木の枝が伸びている家があり、白い花がちらほらと咲いて・・・・。

日本絵本賞、講談社出版文化賞、ブラチスラバ世界絵本原画展金牌、オランダ銀の石筆賞など受賞の酒井駒子氏による美しい装画にも注目!

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地図を広げて(2018年 偕成社)
父親と2人暮らしの鈴のもとに、母親が倒れたという知らせがとどく。母はそのまま亡くなってしまい、母親のもとにいた弟の圭が、鈴たちといっしょに暮らすことになった。 たがいに離れていた時間のこと、それぞれがもつ母親との思い出。さまざまな思いをかかえて揺れ動く子どもたちの感情をこまやかにとらえ、たがいを思いやりながら、手探りでつくる新しい家族の日々をていねいに描いた感動作。


ともだちのときちゃん(2017年 フレーベル館)
フレーベル館【おはなしのまどシリーズ】として出版された岩瀬成子の新刊『ともだちのときちゃん』は、イメージの広がりとこの年頃の子どもが経験する瑞々しい出会いにあふれています。(略)著者はそういう細部をみつめる子どもの感情をとてもよく描いていて、このお話しの最後のところでたくさんのコスモスの花にかこまれて青い空と雲をみつながら「ぜんぶ、ぜんぶ、きれいだねえ」とふたりの気持ちをつたえています。

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ちょっとおんぶ(2017年 講談社)
6才のこども特有のイノセントな感覚世界。この年ごろの人間だけが経験できる世界認識のあり方が本当にあるのかもしれない。あっていいとも思うし、ぼくはそれを信じていいようにも思います。名作「もりのなか」(マリー・ホール・エッツ)が普遍的に愛読されるのもこの点で納得できる気がするのです。
この本の帯にあるように、絵本を卒業する必要はないけれど絵本を卒業したお子さんのひとり読みや、読みきかせにぴったり!といえるかもしれません。どうぞ、手にとって読んでみてくださいね。

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マルの背中(2016年 講談社)
父と弟の理央が暮らす家を出て母と二人で生活する亜澄は、駄菓子屋のおじさんから近所で評判の“幸運の猫”を預かることに。野間児童文芸賞、小学館文学賞、産経児童出版文化大賞受賞作家による感動作!

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ぼくが弟にしたこと(2015年 理論社)
成長の予兆を感じさせるように父と再会した麻里生には、次第に人混みにまぎれていく父の姿は特別な人には見えなかった。著者は帯にこう書き記している。どの家庭にも事情というものがあって、その中で子どもは生きるしかありません。それが辛くて誰にも言えない事だとしても、言葉にすることで、なんとかそれを超えるきっかけになるのでは、と思います。

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きみは知らないほうがいい(2014年 文研出版)
2015年度産経児童出版文化大賞受賞。
クニさんの失踪、クラスメートの関係性が微妙に変化するいくつかのエピソード、昼間くんの手紙、錯綜するその渦の中で二人の心の変化と移ろいを軸に物語は複雑な展開をみせる。
最終章、米利の手紙にはこう書いてある。それはぐるぐると自然に起きる渦巻のようなものだった。「いじめ」という言葉でいいあらわせない出来事があちこちで渦巻いている学校。
それでも明るい光に照らされている学校。そして苦い汁でぬるぬるとしている学校。学校よ、と思う。そんなに偉いのか。そんなに強いのか。そんなに正しいのか。わたしは手でポケットの上をぽんぽんとたたいた。

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あたらしい子がきて(2014年 岩崎書店)
前作『なみだひっこんでろ』の続編のようでもあり、“みき”と“るい”姉妹のお話となっているけれど、ストーリーそのものはそれとはちがうまったく新しいものである。 ここでは、お母さんのお母さんとその姉、つまり“おばあちゃん”と“おおばあちゃん”という姉妹がいて、知的障害のある57歳の“よしえちゃん”とその弟の“あきちゃん”の姉弟が登場する。 このように“みき”と“るい”姉妹の周りにもそれぞれの兄弟が重層的に描かれている。
第52回野間児童文芸賞、JBBY賞、IBBYオナーリスト賞を受賞。

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くもりときどき晴レル(2014年 理論社)
ひとを好きになるとどうして普通の気持ちじゃなくなるのだろう。誰でもこのような不思議な感情に戸惑いを感じることがある。恋愛感情とも云えないやりきれない気持ちの動きと戸惑いをともなう心理状態のことだ。 本著は、「アスパラ」「恋じゃなくても」「こんちゃん」「マスキングテープ」「背中」「梅の道」という6つの物語で構成された短編集であるけれど、思春期を向かえる少し前になるそれぞれの子どもの現在としてそのやわらかい気持ちの揺れを瑞々しいタッチで描いたもの。

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なみだひっこんでろ(2012年 岩崎書店)
今年度第59回課題図書に決定!

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ピース・ヴィレッジ(2011年 偕成社)


大人になっていく少女たちをみずみずしく描く
「最後の場面のあまりのうつくしさに言葉をうしなった。私たちは覚えている、子どもからゆっくりと大人になっていく、あのちっともうつくしくない、でも忘れがたい、金色の時間のことを。」 角田光代
基地の町にすむ小学6年生の楓と中学1年生の紀理。自分をとりまく世界に一歩ずつふみだしていく少女たちをみずみずしく描いた児童文学。
偕成社から好評新刊発売中!

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だれにもいえない(岩瀬成子著・網中いづる画、毎日新聞社)


小さな女の子のラヴストーリー。
点くんをきらいになれたらな、と急に思った。 きらいになったら、わたしは元どおりのわたしにもどれる気がする。 だれにも隠しごとをしなくてもすむし、 びくびくしたり、どきどきしたりしなくてもすむ。(本文より)
4年生の女の子はデリケートだ。 せつなくて、あったかい、岩瀬成子の世界。 おとなも、子どもたちにもおすすめの一冊。

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まつりちゃん(岩瀬成子著、理論社)
この作品は連作短編集という形式で構成され、抑制の効いた淡々とした表現で描かれているところが新鮮である。各篇ごとにちがった状況が設定され登場人物(老人から子ども)たちはそれぞれ不安、孤独、ストレスといった現代的な悩みを抱えている。その中で全篇を通して登場する“まつりちゃん”という小さな女の子は、天使のように無垢なる存在として現れる。その女の子と関わることによって物語は不思議なこと癒しの地平へと開示され、文学的世界が立ち上がるかのようだ。 岩瀬成子の新しい文学的境地を感じさせる魅力的な一冊ともいえる。

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オール・マイ・ラヴィング(岩瀬成子著、集英社)

■ 1966年、ビートルズが日本にやって来た!14歳の少女が住む町にビートルズファンは一人だけだった。 ■ 「オール マイ ラヴィング」とビートルズは歌う。聴いていると、だんだんわたしは内側からわたしではなくなっていく。外側にくっついているいろいろなものを振り落として、わたしは半分わたしではなくなる。ビートルズに染まったわたしとなる。 ■ 岩瀬成子の新刊、1月31日集英社から好評発売中。“あの時代”を等身大の少女の目でみつめた感動の書き下ろし長編小説 『オール・マイ・ラヴィング』 ■ ビートルズ ファン必見の文学はこれだ!

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そのぬくもりはきえない(岩瀬成子著、偕成社)
■ 日本児童文学者協会賞受賞


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朝はだんだん見えてくる(岩瀬成子著、理論社) ■ 1977年、岩瀬成子のデビュー作。本書はそのリニューアル版で理論社の『名作の森』シリーズとして再発行されたもの。

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